教育訓練
教育訓練に関する事項は、就業規則の相対的必要記載事項に当たりますのでこれらの定めをする場合には、必ず就業規則に記載しなければなりません。
○教育訓練の権利・義務
教育は、企業発展のためにも経営上重要な施策です。しかし、重要な施策であるにもかかわらず、受ける側は不平、不満を言ったり、出席しても居眠りしたりという状況が多いのが現状でしょう。
人間は「権利」を強調しないと「義務」の履行を認識しにくいという傾向があるので、教育を受ける権利と義務を明確化するような規定が、心理的にも、また会社の姿勢を示すものとしても有効になると思われます。
注意しなければならないのは、教育訓練の時間が労働時間に当たるかどうかです。
社内教育や研修の受講について、上記規定のように指示があったときは、必ず受けなければならないとした場合、その教育・研修中は、労働時間となり、それが勤務時間外に及べば、割増賃金の支払も必要となります。ただし、研修への参加が、社員の任意とされている場合には、労働時間とはなりませんので、当然、割増賃金を支払う必要はありません。このあたりのことを、就業規則には明確に定めておきましょう。
就業規則規定例 第○条(教育訓練) 2 会社は、個人情報及び特定個人情報等の保護管理を徹底するため労働者に対し個人情報及び特定個人情報等の適正な管理に関する教育訓練を行う。また、個人情報及び特定個人情報等の管理責任者並びに個人情報及び特定個人情報等を取り扱う事務取扱担当者に対して、別に、教育訓練を指示することがある。 3 会社から教育訓練を受講するよう指示された場合、従業員は、正当な理由なく拒否することはできない。 |
事業主が、労働者に対し教育訓練において性別を理由に差別的取扱いをすることは禁止されています(均等法第6条)。
会社は、労働者が退職する場合などに、一定額の違約金を定めたり、損害賠償の請求を予定することによって、退職の自由を制限することはできません。(労働基準法第16条)
「退職に際して、研修費用4万円を遡って会社に支払う」 という契約は退職の自由を奪うので 労働基準法第16条違反である、とした判例があります。
会社は、従業員が業務を行うために 必要な教育を行わなくてはなりません。ですから、「必要な教育=強制」ということになります。会社が強制(義務化)している教育については、費用も会社が負担しなくてはなりません。会社が受講を義務づけている教育・研修の費用を従業員に費用負担させる(支払わせる)ことはできません。
一方、従業員のスキルアップ(資格取得など)を目的とする「任意の」研修費用については、必ずしも会社に費用負担の義務はありません。
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