事業の両輪はマーケティングとイノベーション

 事業を行うにあたって、目標を設定する必要がある。ドラッカーは、企業の存続における重要な分野として 次の8つの分野を挙げ、それぞれに目標が必要であると説く。

 1)マーケティング

 2)イノベーション

 3)人的資源

 4)資金

 5)物的資源

 6)生産性

 7)社会的責任

 8)利益(条件としての利益)

 ドラッカーは、企業には2つの目的があると説いています。マーケティングとイノベーションです。ドラッカーの「マネジメント」では、「マーケティング」と「イノベーション」を事業の両輪とする。両輪がうまく機能するかどうかで企業の成長は決まってくる。

 企業には多くの機能があります。例えば、労働力や資本を効率的に管理することもその一つです。

 企業の目的は顧客を創造することです。この顧客を創造するという目的から見てみると、企業の真に基本的な機能は二つであることがわかります。その二つとはマーケティングとイノベーションです。このマーケティングとイノベーションだけが成果をもたらすものです。

 マーケティングとは、まず顧客からスタートするものです。我々は何を売りたいかではなく、「顧客は買いたいか」を問うことです。そして、我々の製品やサービスにできることは何かではなく、「顧客が価値を見出し、必要とし、求めていることは何か」を考えることです。そして、マーケティングとセールスとは正反対のものです。むしろ、マーケティングの理想はセールスを不要とすることです。

 マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることです。「顧客の方から買いに来てくれる仕組みを作ること」ということです。これであればセールスをする必要なくなります。  市場調査も広告もマーケティングの一部に過ぎません。

 ただ、マーケティングだけでは顧客を創造するうえで十分とは言えません。企業は成長を続けていかなければなりません。

 新しい満足を生まない企業は競合他社に追い越されるだけでなく、その存続すら危ぶまれます。  顧客の需要には顕在化しているものと潜在的なものとがあります。顕在化している需要とは一般に言われる需要のことです。

 イノベーションとは新しい満足を生み出すことです。

 しかし、イノベーションとは単に発明のことではありません。新しい市場を開拓することもイノベーションなのです。

 マーケティングとイノベーションの二つの機能は、顧客の創造という企業の目的から見て基本的な機能である。

 他にも企業には重要な機能がいくつもありますが、真に重要なものはこの2つであると認識しなければなりません。

 

イノベーション(創造)とマーケティング(効率化)への知見を深めていく

 現代の不確実で変化の激しい経済環境にて、企業を持続的に成長させていくような経営戦略を実行させていくためには、環境に合った新しいものを作り出していく「イノベーション」と、新しく作ったものを顧客の目線に落とし、実益につなげていく「マーケティング」の視点が重要になってきます。

 この二つは、いわば両輪で、新たなものが生み出せなければいずれ環境変化に置いて行かれますし、新たなものを顧客への財・サービスとして届けられなければ、イノベーションは無駄なものになってしまいます。

 これら双方の視点を明確に持ちながら、変化の激しい経済環境を戦っていくための経営戦略の構築が肝要となってきます。従って、これからの企業の実効性のある経営戦略を策定できる人は、イノベーションやマーケティングに掛かる嗅覚の鋭い人であるといえます。

 これから経営戦略を構築する人、またはいずれ経営戦略を構築する立場になる人は、イノベーションとマーケティングにおける知見を深め、自らの知見を経営戦略策定や実行に生かせるようにしておくことが肝要です。

 

必要となる経営資源

 マーケティングの目標とイノベーションの目標を実現するには、経営資源が必要となる。これが第3から第5までの目標、「人的資源」「資金」「物的資源」である。これら経営資源をどのように調達して、どのように用いて、どのように開発していくかについての目標である。

 第3から第5までの目標は、「どのように調達して」「どう用いて」「どのように開発していくか」の3段階について目標がなければならない。たとえば、「人的資源」でいうと、次の3段階である。

 どのような力を持った人材を、どこからどのようにして採用するか。 その人材の強みを生かすには、どのように働いてもらうべきか。 その人材の能力を、どのように開発して成長してもらうか。

 第6は「生産性」である。経営資源が生産的に利用されているかどうかを判断する指標を持ち、そのうえで目標を設定しなければならない。1人あたり、時間あたり、あるいは資金についてなど、それぞれの観点からの生産性がある。

 第7は「社会的責任」である。企業をはじめとする組織は、社会の中に存在していることで、社会に対して何らかの影響を与えている。製品を作れば工場から廃棄物が出る。騒音も出ているかもしれない。最低限、社会に対して害をなさないために、どのような目標をもって事業を行っていくのかを考えなければならない。

 また、「社会は何を求めているのか」を考え抜いていくなかで、組織が自らの使命を見いだすことができるかもしれない。その観点からも、社会的責任についての目標が必要になる。

必要利益の考え方

 これらの目標によりながら事業活動に取り組む中で、どの程度の「利益」をあげられるかが、第8の目標である。「結果として」という位置づけであるため、最後に挙げられている。

 そもそも、ドラッカーは、「利益」を「目標」ではなく「条件」としてとらえる。ドラッカーの考える「利益」とは、将来イノベーションを起こし、マーケティングを展開していくのに必要な資金である。それがどのくらい必要かによって利益目標が決まってくる。同業他社との比較による目標などは適切とはいえない。もちろん、事業全体の目標に合っていないのならば、漠然とした数値的な利益目標は意味をなさない。

 ドラッカーは、「必要利益」という言い方をする。他の7つの目標とともに、総合的な視点をもって目標を設定していかなければならないとした。

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