マネジメントに必要なスキル

 ドラッカーは、マネージャーを「組織の成果に責任を持つ者」と定義しています。

 マネージャーは、目標を達成するために、部下への動機付けやメンバーとのコミュニケーションを図り、組織全体のモチベーションを高めることも求められています。

 ドラッカーは、著書の中で「マネジメントとは仕事である。したがって一定のスキルを必要とする。すべてに習熟することはできないが、それぞれのスキルの中身、何ができるか、何を要求しているかを知っている必要がある」との考え方を提示しています。

 階層や業務によってさまざまな種類に分けられるネジメントですが、それらを成功させるためには いくつか必要になるスキルがあります。

 そのスキルが下記の4つです。

 

1 意思決定のスキル

 不測の事態は付きものですが、その際、強い判断軸とともに柔軟性が問われます。冷静で正しい意思決定が必要にもかかわらず、決定者が右往左往してしまっては大変なことになるからです。

 マネジメントにおける「意思決定」は、異なる意見や見解が対立したり、いくつかの案が挙げられたりする中から選ばれるべきもの。決して「全会一致」が正しいというわけではありません。

 意思決定を行う際は、異なる意見や見解を見極め、それが出てこない場合には、意思決定自体を見送るという選択肢も必要となります。

 マネージャーは重要な決断を求められることが多くありますが、その際に全員から賛成されることはほぼありません。

 真っ向から対立する意見もあるなかで、自分の意見を通しつつ意思決定していく必要があります。

 その決断が組織のビジョンや方向性とそぐわない場合、メンバーや部下からの信頼が損なわれるため、熟慮を重ねた意思決定が必要です。

 

2 コミュニケーションのスキル

 組織に成果をあげさせるためのマネジメントを行うには、コミュニケーション力が必要です。ドラッカーは、コミュニケーション力のことを、「コミュニケーションとは、知覚であり、期待であり、欲求であり、情報法ではない。」と言います。

 コミュニケーションと言うと、とかく相手との接点を多く持つことや、どれだけの情報を相手から知り得ることかに着目してしまいがちですが、そうではないのです。もちろん、ある程度の情報量は大切なのですが、それだけではなく、相手の欲求をとらえること、また、こちらの欲求を相手に知覚させることが重要なのです。

 マネジメントは、一方的に相手に情報を押し付けるだけではなく、情報を共有しながら相手に理解をさせる、動機付けさせる、モチベートさせる ということが必要なのです。

 組織の目標、大きなプロジェクトを達成させるには、組織で働くメンバーの協力が必要です。多くの人が在籍する組織の管理者は、個人の能力を活かし、組織全体をまとめて成果を上げることが求められます。

 そのためにも、管理者のコミュニケーションスキルが重要となるのです。管理者が一方的に伝えるだけではなく、部下の意見や考え、問題点や課題などをしっかり聞き入れ受け止めることで双方の理解が深まります。

 情報を共有し部下一人ひとりの能力や性格などを見極め、コミュニケーションを取ることが、組織全体のモチベーションアップ、そして組織の目標達成につながるでしょう。

 

3 管理のスキル

 マネジメントにおける管理のスキルは3つ。

・組織本来の目的の達成に向けて組織を適切に機能させる

 組織の目標を理解、把握させて、目標を達成させるための計画を立案します。目標を達成させるための計画がスムーズに進められるよう、最適な人員の配置や管理を行うのです。

・生産性を高めるために適切なことを適切に行う

 時間、プロセス、工数、労働力などを具体的なスケジュールを作成し管理します。

・仕事の基準を高め、組織がなす仕事の精度を上げる

 設定する目標を簡単なものにしすぎると達成感が薄れる。しかし、難しすぎると社員のやる気が失せてしまうでしょう。部下のやる気と適度な緊張感を維持するラインに目標を設定すると、仕事の精度が上がります。

 組織に成果を上げさせるためには、そのために必要なリソースや期間を計画しなければなりません。そして、その計画が進捗していくよう細かな管理が必要になります。

 また、常に生産性の向上や質の向上を求め、それをプロセスの中に落とし込んでいく必要もあります。新しい手法やこれまでの工程を否定するやり方であっても、その理解を求め、実行してもらうのもマネジメントの仕事です。

 管理とは、組織の人の労働時間や労働生産性を確認するのではなく、いかに目標の達成に導くか、ということなのです。

 

4 分析のスキル

 組織内にはさまざまな人材が関わっています。1つの都合だけで組織が成り立っているわけではないのです。

 管理職は、日々変化する人や物、世の中、スピードの速さへの素早い対応が求められます。そのためにも、組織の目標とどの戦略ビジネスが直接関わっているのかなどを評価し、優先順位をつけるための分析スキルが必要です。

 経験値や勘を頼りにするのではなく、客観的な視点からビジネスを遂行する分析のスキルが求められています。

 

体系的廃棄

 上記1~4 は、マネジャーが時系列で進める活動です。一方、これらの活動と並行して実行すべきことがあります。体系的廃棄がそれです。これは、古くさくなったものを体系的に廃棄する仕組みを構築することを指します。

 具体的には、

①現在実行しているものについて改善策を考える

②成功しているものについては応用法を考案する

③古くさくなったものを捨て、新しく違ったものを考案する

という一連の活動です。

 特に、③では、現在行っていることを実行していないと仮定し、いまからでも実行するかを考えます。そして、実行しないものは即座に廃棄します。

 いま新しいものでも、いつかは陳腐化します。生産的でなくなったものを、いつまでも所有していると、生産性向上の足かせになってしまいます。そうならないためにも、古くなったものを自ら進んで廃棄し、それに代わる新たなことを考えることも、マネジャーに課せられた重要課題の一つなのです。

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