専門業務型裁量労働制
専門業務型裁量労働制は、業務の性質上、その遂行方法を大幅に従業員の裁量に委ねる必要があるような場合に、一定の要件を満たせば労使協定に定めた時間労働したものとみなすことができるという制度です(労働基準法第38条の3)。
研究開発等の業務であって、業務の性質上、遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、業務遂行の手段や時間配分などに関し具体的な指示をしないこととするものをいいます。採用できる職種に限りはあるものの、裁量性の高い仕事に携わる場合に適した制度ということができます。
労使協定を締結することにより、このような業務に労働者を就かせたときは、労使協定で定める時間労働したものとみなすことができます。
しかし、専門業務型裁量労働制は無制限に適用することができるわけではなく、省令(労働基準法施行規則第24条の2)で、業務の範囲が限定されています。
(厚生労働省令で定める業務)
イ 新商品、新技術の研究開発又は人文科学、自然科学の研究の業務
ロ 情報処理システムの分析又は設計の業務
ハ 新聞、出版の取材若しくは編集、放送の取材若しくは編集の業務
二 いわゆるデザイナーの業務
ホ プロデューサー又はディレクターの業務
へ その他厚生労働大臣の指定する業務
①コピーライターの業務、②システムコンサルタントの業務、③インテリアコーディネーターの業務、④ゲーム用ソフトウェアの創作の業務、⑤証券アナリストの業務、⑥金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務、⑦公認会計士の業務、⑧弁護士の業務、⑨建築士の業務、⑩不動産鑑定士の業務、⑪弁理士の業務、⑫税理士の業務、⑬中小企業診断士の業務
労使協定の留意点
フレックスタイム制とは異なり、締結された労使協定を労働基準監督署長に届け出る必要があります。労使協定には「1日ごとの労働時間のみなし時間」を協定します。「毎月○○日について1日○時間の時間外労働をしたものとみなす」という方法で、1ヵ月の時間外労働の時間数を表現できるようにします。
裁量労働制のもとでも、労働基準法第4章の労働時間の算定に限られるため、休憩、深夜業、休日に関する規定の適用は排除されません。深夜や休日に労働した場合には、労使協定で定めたみなし労働時間とは別に、その時間を把握し、深夜業割増賃金または休日労働手当を支払わねばなりません。
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