労働1時間当たりの賃金額の計算

 原則は、賃金を平均所定労働時間数で除して求めます。

 

1 月によって定められた賃金(月給)の場合

 月によって定められた賃金額を、月における所定労働時間数で除して得た額とします。

  (基本給 + 手当)÷ 1ヵ月の所定労働時間数

 割増賃金の計算の基礎になる月給には、基本給だけでなく諸手当も含まれます。

 割増賃金の算定基礎賃金から除外できるものは、次のものに限られています(労働基準法施行規則第21条)。
 ・家族手当 
   扶養家族数に応じて支給されるものは算入しません。
   家族数に関係なく一律に支給される手当は算入します。
 ・通勤手当 
   距離に関わらず支給されるものは算入します。
 ・別居手当 
 ・子女教育手当 
 ・住宅手当
   一律に定額で支給されるものは算入します。
   扶養家族数又は家族手当を基準とするものは算入しません。
 ・臨時に支払われる賃金(結婚手当、私傷病手当など)
 ・1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金賞与など)

 

 「1ヵ月の所定労働時間数」が月によって異なる場合は、1年間の賃金総額を「年平均の1ヵ月平均所定労働時間数」で除して求めます。

 年平均の1ヵ月の所定労働時間数の求め方は次の通りです。

(1) 1年間の所定労働日数を求めます。

(2) 1年間の暦日(365・365日)から所定休日日数(就業規則で定められている)を引きます。

  (365 or 366日)- 年間所定休日 = 年間所定労働日数

(3) 1年間の所定労働日数に所定労働時間を乗じて、1年間の所定労働時間数を求めます。

   年間所定労働日数 × 所定労働時間 = 年間所定労働時間

 (4) 1年間の所定労働時間数を12ヵ月で割って、年平均の1ヵ月の所定労働時間数を求めます。

   年間所定労働時間 ÷ 12 = 1ヵ月平均所定労働時間

 

2 日によって定められた賃金(日給)の場合

 日給の金額を1日の所定労働時間数で(日によって所定労働時間数が異なる場合には、1週間における1日平均所定労働時間数)で除して得た額とします。

 

3 時間給制の場合

 その時間給単価を1時間当たりの賃金とします。

 

4 出来高払い制その他の請負制によって定められた賃金の場合

 賃金算定期間(賃金締切日がある場合には、賃金締切期間)において出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金算定期間における総労働時間数で除して得た額とします。

 

5 労働者の受ける賃金が前各号の2以上の賃金よりなる場合

 賃金が日給部分と月給部分など2以上の賃金の合計で支給される場合は、上記1 ~ 4 について計算をして、その合計額を1時間当たりの賃金額とします。

 

 割増賃金の算定では、これら1時間当たりの賃金額に割増率および時間外労働数または休日数等を掛けて算出します。

 

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