境界性パーソナリティ障害の治療

 主な治療法は2つです。   

  「気分の落ち込み・強い不安感・怒りの感情・冷静でいられない」などの症状に対しては、抗うつ剤や抗不安薬などの薬を用いて治療します。並行して、精神科医や臨床心理士によるカウンセリングや行動療法で根気よく治療して行きます。

  大事なことは、本人の「治りたい・治したい」という気持ちです。治療では、過去のつらい出来事やできれば知らぬふりをしたい事ともきちんと向き合わなければいけません。

 また、治療期間も人によっては長期にわたることもあります。医師や心理士を信頼し、「治りたい・治したい」気持ちを忘れずに長い目で治療に取り組みましょう。

 境界性パーソナリティ障害は治すのが困難と考えられていた病気でした。しかし、現在では薬の発展や精神療法の確立などにより、改善可能な病気とされています。もちろん、治療を始めたからといってすぐに良くなるわけではなく、根気の良い取り組みが必要です。

 治療はコミュニケーションを取りながら進められていく

 境界性パーソナリティ障害の患者の方は、コミュニケーションがとれない状況であったりします。  気分が落ち込んでいたり、過去のことにとらわれて、気性が激しくなったりします。そのような気持ちをコントロールすることはとても大変です。

 治療は精神科の医師の力を借りることが必要です。診察などを定期的に受けながら、アドバイスをもらったり、治療に対する不安を抑えたりします。悩みの原因をはっきりさせて、どう対処したらいいか医師やスタッフと考えたりもします。

 しかし、患者の症状が不安定でコミュニケーションがとれない状態ではそう簡単にはいきません。そういう場合は、薬によって不安を抑えてからコミュニケーションを取るようにします。

 境界性パーソナリティ障害の治療を進めていくと、だんだん様々なシーンに対応できるようになり、感情的になることも少なくなっていきます。すると治療も進めやすくなります。

 境界性パーソナリティ障害を抱えながら生きることはとても大変です。症状に気づいたら、できるだけ早く精神科を受診しましょう。そして、少しずつ良い方向に向かっていくと信じて、治療を続けていきましょう。

 

境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)をもつ人への関わり方

  境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)をもつ人は常に不安や恐怖を抱えています。周囲の人々を振り回し、疲れさせ、関わりを遠ざけてしまうようなことを繰り返すのも自己表現のひとつであり、周囲の人々に対する「試し」であることがほとんどです。彼らがなぜそのような言動を起こすのか、冷静に見つめる必要があります。彼らを変えようとするのではなく、まずは受け入れ、理解し、感情的に否定せず、冷静に対処していくうちに解決の糸口が見つかる可能性があります。彼らとの関わりを一人で抱え込まず、専門家などに相談することも重要です。受け入れようとするあまり、振り回されて疲れ切ってしまわないよう、必要以上に彼らの要望に応えたりせず、自分に無理のない範囲にとどめておくこともポイントです。時には距離を置くこともよいでしょう。