特別支援学級

 「特別支援学級」は、かつては「特殊学級」とよばれ、もともと知的障害児や肢体不自由児、視覚障害児、聴覚障害児、病弱児などのために設置されたものです。 特殊学級が始まった頃は、ADHDやLDといった発達障害がそれほど一般に認知されていなかったため、発達障害の子が入るというケースは想定されていませんでした。現在、自閉症や高機能自閉症(知的障害のない自閉症)の子どもが、特別支援学級で学ぶケースが見られます。特別支援学級は比較的人数が少なく、きめこまかい指導ができる。なお、知的障害のないADHDの子は特別支援学級に通う必要はありません。

 その行動の特性から学習に困難が生じやすい。しかし、多くの患者がそれを乗り越えて、進学や就職を果たしています。ADHDの子どもには知的障害がないので、学習課題を理解する力そのものは十分に持っています。 しかし、学校の授業のような精神的緊張を覚える状況の中で、先生の話を最後まで集中して聞くことができないことがあります。 また、順序立てて物事を覚えていったり、推論することが苦手なため、本来持っている実力を十分発揮することができません。 結束としてテストでよい点をとることができず、勉強に遅れが生じることになってしまいます。 また、多動・衝動的な行動特性が原因で周囲と衝突することも多く、集団生活の場に置かれることが、心理的負担になってしまう場合もあります。 しかし、ADHDだからといって進学や就職をあきらめなくてはならないというようなことは決してありません。

 先生がいるにもかかわらず、子どもたちが騒いで授業が成り立たない「学級崩壊」。その原因は、ADHDの子どもだけにあるわけではありません。「学級崩壊」のクラスでは、誰もが先生の言うことを聞かず、授業中でも勝手に歩きまわったり友だち同士で遊んだりしています。 今も昔も、ADHDの子どもの数はさほど変わりありません。学級崩壊の原因は、ADHDの子だけでなく、それを取り巻く周囲の子どもたちにも問題が起きていると考えることもできるのです。「個性を尊重する」ことと「がまんしなくていい」ことは違います。しかし、「自由な教育」と「自分の好き勝手に行動してもいい」ことを、はき違えている親や子どもが増えてきています。 昔は、教室内で見られるADHD特有の行動を、「いけないことだ」と見る雰囲気があったはずです。しかし、今の子どもたちは「じゃあ、自分もがまんしなくていいんだ」というふうに考えてしまいがちなのでしょう。 ADHDの子ばかりでなく、周囲の行動にも、目を向けるべきでしょう。