膵移植

 膵移植を実施するのは、糖尿病患者の膵臓がインスリンをまったく産生できなくなった場合です。

 インスリン注射は安全で糖尿病に対して十分効果があるため、膵移植を行うのは一部の糖尿病患者に限られます。移植の恩恵を一番受けるのは、インスリンの投与により生命にかかわるほどの低血糖発作が繰り返し起きる患者や腎移植も必要になっている患者です。腎移植が必要な患者の場合、腹部を切開し免疫抑制薬の投与も必要なため、膵移植を同時に受けても追加のリスクは少なくて済みます。

 膵移植は、、腹部を大きく切開し全身麻酔下で行う大手術です。レシピエントの膵臓は摘出しません。手術には通常3時間ほどかかり、1~3週間入院します。

 膵臓移植を受けた糖尿病患者のうち、80%を超えるレシピエントで術後は血糖値が正常になり、インスリン治療の必要がなくなります。しかし、免疫抑制薬を服用しなければならなくなり、感染、その他の副作用のリスクが増加します。