振替休日

 振替休日とは、所定の休日に労働させることが必要となった場合に、休日として定められた日を労働日に変更し、労働日であった日を休日に変更するものです。

 休日は労働者が勤務する義務のない日ですから、休日の振替えを行うためには、次に示す措置が必要となります。
・就業規則に、休日を他の日に振替えることができる旨を規定すること
・振替休日を特定すること
・振替休日は、4週4日の休日が確保される範囲の出来るだけ近接した日とすること
・所定休日の到来する前に振替えるべき日を示すこと
・あらかじめ(前日まで)振替日を指定の上、労働者に通知すること

 振り返られた休日法定休日の範囲内であること。つまり、「毎週少なくとも1回」あるいは「4週4日」(変形休日の場合)の範囲内でなければなりません。

就業規則規定例

第○条 (休日の振替)

 業務に都合によりやむを得ない場合には、従業員の全部または一部について、あらかじめ前項の休日を他の日と振り替えることがある。ただし、休日は4週間を通じ4日を下らないものとする。

 無条件に休日の振替えを行うことができるわけではありません。

 行政解釈では、「就業規則において休日を特定したとしても、別に休日の振替を必要とする場合休日を振り替えることができる旨の規定を設け、これによって休日を振り替える前にあらかじめ振り替える日を特定して振り替えた場合は、当該休日は労働日となり、休日に労働させることにならないとしています(昭23.4.19基収1397号、昭63.3.14基発150号)。Fotolia_62623279_XS

 振替えによって当初の所定休日に労働義務が生じ、かわりに振替えられた日(振替休日)には労働義務がなくなります。当初の休日は労働日となるため、その日に労働させても休日に労働させたことにはなりません。つまり、休日振替をした場合には、休日労働割増賃金を支払う必要はないのです。

 振り替えるべき日については、「振り替えられた日以降できる限り近接している日が望ましい」とされています(昭和23年7月5日 基発968号、昭和63年3月14日 基発150号)。

 就業規則等において、できる限り休日振替の具体的事由と振り替えるべき日を規定することが望まれます。

 しかし、振り替えた休日が週をまたがるような場合があります。当該週の労働時間が40時間を超えた場合には、その超えた時間の割増賃金の支払いが必要となってしまいます。

 「休日は毎週日曜日とする。ただし、業務の都合により会社は休日を他の日に振替えることがある」といった規定を設けている場合、日曜日の出勤を命ずる場合には、遅くとも土曜日までに振り替るべき休日を指定していなければなりません。所定休日の到来する前に振り替えるべき日を指定しなかった場合、事後の休みは振替休日ではなく、いわゆる代休となってしまいます(昭23.4.19基収1397号、昭63.14基発150号)。この場合、休日労働をさせた日が法定休日である場合に3割5分増以上の割増賃金を余儀なくされてしまいます。

 

労働者の個別的同意を得ずに休日振替を命じうるか

 就業規則において、業務上の必要性があることを振替の要件とするなど合理的な根拠があれば、使用者は個別的同意を得ずに休日振替を命じうると考えられます。裁判例および行政解釈も、使用者が休日を他の労働日に振り替えることができる旨を定めた規定が存在し、振替先の労働日をあらかじめ特定すれば、使用者は労働者の個別的同意を得ずに休日振替を命じることができると解しています(三菱重工業横浜造船所事件 横浜地裁 昭55.3.28)。

 

  労働基準法上、休日は原則として午前0時から午後12時までの暦日単位で与えなければならないものとされています。半日単位で振替休日を与えることはできません。

 

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