三矢タクシー事件 浦和地裁(昭和63年3月7日決定)
(分類)
懲戒
(概要)
業務中の同僚運転手に対する暴力行為を理由とする懲戒解雇の効力が争われた事例。 (却下)
労働基準法が使用者に対し右届出義務を課した趣旨は就業規則の内容についての行政的監督を容易ならしめようとしたものに過ぎないと解されるから、右義務違反に対して罰則が課されることがある(同法120条1号)ことはともかく、届出の有無は就業規則の効力に消長を来さないと解するのが相当と考える。 そうすると、債務者主張の就業規則について労働基準監督署長への届出がなされていないからといって右就業規則が無効であるとはいえない。
債権者のAに対する本件暴行・傷害は、債権者の勤務時間外に、債権者が乗客として乗車した際にされたものであることは当事者間に争いがない。しかしながら、〈証拠略〉によれば、「勤務外といえども飲酒運転、その他タクシー会社の従業員としてあるまじき行為をしたとき」は懲戒解雇事由となることが就業規則に明定されていることが一応認められ、タクシー会社である債務者会社の乗務員である債権者がタクシー運転中の債務者会社の乗務員に前記のような暴行を働いたという事案の性質にもかかわらず、なお債務者の債権者に対する懲戒解雇権の行使を濫用であると一応認めるに足りる疎明資料はない。
(関係法令)
労働基準法89条1項
(判例集・解説)
労働判例515号41頁 労経速報1333号18頁
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