中日新聞社事件 東京地裁決定(昭和49年3月20日)
(分類)
採用
(概要)
営業譲渡に際して、新会社への採用を拒否された、旧会社との間で懲戒解雇係争中の従業員らが、新会社に対して従業員としての地位に基づく賃金の仮払の仮処分を申請した事例。 (申請認容)
これらを総合すれば、被申請人の代理人らが申請人らの採用申入要求に対し、採否については裁判所なり、都労委の結論に従う旨の意思表明は、右解雇処分が裁判所であれ、都労委であれ、兎に角無効であるとの判断がなされた際には、その時点で申請人らを他の従業員の採用の場合と同一の労働条件(昭和42年10月1日付で採用されたとした場合の、その時点における待遇と同等の待遇。)で採用すべき義務を負う意思を表示したものと解するのが相当である。しかして右意思表示によりその頃当事者間に採用の効力発生を右条件の成就にかからしめる一種の停止条件付雇用契約が成立したと解するのが当事者の意思解釈として最も合理的である。しからば本件雇用契約は、東京地裁昭和40(ヨ)第2216号地位保全等仮処分申請事件の昭和44年10月18日言渡の判決(前記解雇処分は無効との判断)によりその効力を生じ、申請人らは右日時以降被申請人の従業員たる地位を取得したものというべきである。しかして被申請人が故意に申請人らの採用(雇用)を拒否しているから、申請人らは被申請人に対し、同日以降の賃金債権を有することになる。
(関係法令)
労働基準法2章
(判例集・解説)
時報742号140頁 タイムズ319号258頁
労働相談・人事制度は 伊﨑社会保険労務士 にお任せください。 労働相談はこちらへ