帝全交通事件 東京地裁判決(昭和43年2月28日)
(分類)
不利益変更
(概要)
使用者により賃金協定を一方的に破棄された組合の組合員らが、右破棄は権利濫用であり破棄前に採用された組合員の労働契約の内容は何ら変更されないとして、破棄前の賃金協定の賃金計算方法に基づけば未払となる賃金の支払いを求めた事例。 (請求棄却)
被告の破棄通告によりその後90日の経過と共に前記賃金協定は失効し、被告は、新たに採用する従業員については、何等の制限を受けることなく個々の労働契約の中で自由に賃金に関する約束を結ぶことができるものといわなければならない。しかしながら、賃金協定破棄前に採用されている従業員については、昭和34年の賃金協定の内容が即ち個々の労働契約の内容に転化しているものと見るべきであるから、たとえ賃金協定が破棄されたからと云って、既に個々の労働契約の内容となっている賃金の歩合率その他に関する部分を当該労働者の同意を得ることなく、使用者が一方的に労働者の不利益に改変することはできないものと解するのが相当である。
(関係法令)
民法623条 労働基準法2条
(判例集・解説)
時報516号74頁 タイムズ218号231頁
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