広島記念病院事件 広島地裁判決(昭和58年11月30日)
(分類)
退職
(概要)
学歴詐称を理由に退職勤奨を受けたため一端退職願を提出したが、同日中に口頭で、翌日文書で右退職願の撤回を申し出た病院職員が、右撤回を認められず退職扱とされたのに対し、右撤回は有効である等として地位保全等求めた仮処分申請の事例。 (一部認容)
このような雇傭契約の合意解約の申入れは、合意解約の成立に向けての申込みの意思表示にすぎないものであるから、雇傭契約終了の効果が発生するためには使用者の承諾の意思表示を要することはいうまでもない。そして、被用者は、右承諾の意思表示が自己に到達するまでの間は、それが使用者に対し不測の損害を与えるなど信義に反すると認められる特段の事情がない限り、原則として自由に解約申入れの意思表示を撤回できると解するのが相当である。(中略)
申請人の撤回の意思表示は、退職願提出から間がないものであって、これにより被申請人に不測の損害を及ぼしたことの疎明もないので、申請人の退職願による解約申入れの意思表示は、右撤回により効力を失ったものというべきである。 したがって、申請人は退職願を提出したのちも、労働契約に基づき、被申請人の非常勤職員たる地位を有しているものといわなければならない。
(関係法令)
労働基準法2章 民法627条
(判例集・解説)
労働判例425号46頁 労経速報1188号12頁
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