洋書センター事件 東京高等裁判所(昭和61年5月29日)
(分類)
懲戒
(概要)
1.社屋の移転に反対し、移転済み後の旧社屋に立入り占拠し、そこに新社屋から社長を連行し約16時間にわたって軟禁し、暴行、傷害を加えたこと等を理由とする即時解雇が、労働基準法20条1項但書後段の「労働者の責に帰すべき事由」に基づくものと認められた事例。
2.「会社は・・・従業員の一切の労働条件の変更については、事前に、組合、当人と充分に協議し同意を得るように努力する」旨の事前協議を経ることなくなされた即時解雇につき、右協約規定に基づき協議を行うべき労使間の信頼関係が全く欠如していたとして、有効と解された事例。
3.
(1) 懲戒解雇事由につき法律、就業規則・労働協約等に具体的定めが存しなければ、使用者は、たとえ労働者に企業秩序違反行為があっても、その労働者を懲戒解雇することはできない。
(2) 就業規則・労働協約等に懲戒解雇事由の定めを欠いたままなされた懲戒解雇は、使用者が懲戒解雇に固執せず、かつ、労働者の地位を不当に不安定にすることのない限り、労働基準法20条1項但し書後段の「労働者の責に帰すべき事由」に基づく即時解雇の意思表示と考えられる。
(判例集・解説)
労働関係民事裁判例集37巻2・3号257頁 労働判例489号89頁 労働経済判例速報1285号3頁
労働相談・人事制度は 伊﨑社会保険労務士 にお任せください。 労働相談はこちらへ