電電公社武蔵野通研事件 東京地裁判決(昭和51年12月23日)
(分類)
休職
(概要)
電電公社職員が、遅刻、早退につき病気休暇願を提出して病気休暇を請求したが、無断欠勤として処理されたので、かかる措置は違法であるとして慰藉料を請求した事例。 (請求棄却)
労働条件に関する規範たる性質を有する右就業規則の定めによって、職員は所定の医師の証明により病気休暇を付与されるという労働契約上の権利を有するものである一方、これに対する承認は所属長の権限とされ、そして所属長はその承認に際し、特に指定した医師(以下指定医師という)以外の医師(以下一般医師という)のした証明に対しては必ずしもこれに拘束されず、それによりその傷病の療養のため休暇を与えることが必要と認められるか否かの判断を加えうる(その結果疑問があれば指定医師の証明を求めることができる)ものと解される。 以上を要するに、本件のように2日以内の病休請求が長期間かつ断続的になされるような場合であって、かつ通達の1号但書所定の直属上長等の証明書の添付や医師の証明書の提示だけでは承認の判断が困難であり、医師の証明書の提出を求める必要があると客観的に認められる場合には、なお所属長はその提出をも求める権限を保有するのであり、右通達1号但書はそのことを否定するものではないと解するのが相当である。もっとも右のような場合に、判断が困難であるからといって度重なる請求の都度新たな診断書の提出を求めることは、難きを強いるもので不当というべく、かかる場合は相当な期間毎に診断書を提出させて判断の基礎とし、請求の都度には直属上長等の証明書や診療領収書等の提示ないし提出を求めるにとどめるべきものである。 以上のとおりであるから、被告Yが原告に対し本件各病休請求につき診断書の提出を求め、原告が正当の理由なくしてこれに応じないため、その請求を承認すべきものと判断できないとして不承認とし、請求にかかる欠勤をいずれも無断欠勤として扱ったことは、これを違法と認めることができない。
(関係法令)
労働基準法89条
(判例集・解説)
労働判例268号22頁
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