三友印刷事件 東京地裁判決(昭和47年10月28日)

(分類)

 社内預金

(概要)

 社内預金を合意解約による円満退職の時にのみ返還するとの合意の効力が労働基準法18条2項との関連で争われた事例。

(不明右論点については労基法違反とされたが、社内預金契約の他の部分については無効となるものではないとされた。)

 更に被告会社は本件預金は一応弁済期を5年後と定めてはあるが、実質上退職金の引当金とする関係から、期限が到来しても返還することなく契約を更新し、合意解約による円満退職の場合にのみ支払う約定であったから、原告らは期限到来の際は更に同一期間弁済期の伸長に応ずる義務があり、被告会社は原告らの円満退職に至るまで本件預金の返還義務はないと主張するので考えるに、労働基準法第18条第5項は使用者は労働者が社内預金の返還を請求したときは遅滞なくこれを返還しなければならない旨を定めており、これに違反する契約条項は無効と解すべきであるから(なお、本件社内預金契約自体が労働基準法第18条第2項に違反することは前記のとおりであるが、これによつて契約全体が無効になるとは解されない)、前記認定のような契約更新並びに円満退職の場合でなければ返還しないとの契約条項は無効であつて、被告会社はこれを理由に本件社内預金の返還を拒み得ないものと解せられ、従つてこの点の主張も亦採用できない。

(関係法令)

 労働基準法18条

(判例集・解説)

 労働民例集18巻5号1067頁  タイムズ218号230頁

 

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