強直性脊椎炎
症状
若年者に(男性に多く女性の2~3倍)、腰痛・仙腸関節痛や殿部痛(坐骨神経痛)や胸部痛(肋間神経痛)、時に股・膝・足関節などの痛みや腫れで発症します。
痛む場所は移動することが多く、安静にしているより体を動かした方が軽くなるのが特徴です。
まだ特徴的な徴候を示さない初期には病状の波が激しく、痛みで寝込んでいたかと思うと、翌日にはケロッとしてスポーツが可能になることもしばしばで、医者に行っても診断がつかないため、周囲から誤解を受け、「怠け病」などと言われて悩む患者さんも少なくありません。
病状の進行に伴い、頸椎も含め脊椎の動きが悪くなって体が前傾気味となり、体を反らす、上を見上る、うがいをするといった動作に支障が出てきます。
重症例では初発から10~20年経過すると脊椎が動かなくなり、日常生活や就労に不自由を感じるようになりますが、全員がそうなる訳ではなく(患者の1~2割程度)、多くの人は、多少の支障はあっても通常の生活を送れます。
目の病気(虹彩炎)、腸の病気(クローン病、潰瘍性大腸炎)、皮膚の病気(乾癬、掌蹠膿疱症)に合併することがあります。
病因・病態
まだはっきりわかっていませんが、HLA(ヒト白血球抗原)のB27型の陽性率が高く(患者の90%に陽性、逆にB27陽性の人が発病するのは僅かで、B27陽性すなわち強直性脊椎炎ではありません)、家族内発生もあるため(10数%)、なんらかの遺伝的素因(なり易さ)あることがわかっています。
これに後天的な要因、たとえば細菌感染などが加わり免疫異常が生じた結果、発症すると考えられています。免疫異常(一種のアレルギー)に基づく炎症は、腱・靭帯が骨に着く部位、すなわち靭帯付着部から始まり、そこから連なる靭帯に炎症がおよんで、ここに骨化が起こった結果、脊椎・関節の動きが悪くなり、一部の重症例では骨性の癒着、すなわち強直(可動性消失)に至ります。
診断
若年者で、全身のこわばりや疲労感(とくに朝)、頑固に繰り返す腰痛(しばし椎間板ヘルニアと誤診されます)や原因不明の手足の関節炎のある場合には本疾患が疑われ、血液検査(血沈やCRPなどの炎症反応、HLA-B27)やX線(レントゲン)検査(仙腸関節炎像、脊椎椎体間の靭帯骨化像など)を行って診断します。
MRI検査は、X線検査で異常が出る前の段階でも炎症像が見られるため、早期診断には有用です。
予防と治療
遺伝的要因の関与があることはわかっていますが、まだ原因がわかっていませんので、予防法はありません。根治療法もなく、病気をよく理解し個々の病状を把握した上で、炎症(痛み)を抑えながら、積極的に体を動かすことが主体となります。こうすることにより不良肢位(脊椎前屈など)での強直を抑制・防止、あるいは遅らせることが可能です。
炎症を抑える方法には、消炎鎮痛剤や抗リウマチ薬があり、いずれも長期間の使用が必要となりますので、個々の患者さんの病状、年齢、社会的背景などに照らしながら有効かつ必要最低限の量を調整して使います。
近年、関節リウマチなどに劇的効果をあげている生物学的製剤も有効であることがわかってきています。その他、種々の温熱療法、あるいはマッサージや漢方など、痛みが楽になるのであれば試してみるべきです(ただし、猛撃矯正療法だけは避けましょう)。
これらを併用しつつ、多少辛くとも、日頃から積極的に運動を心がけ社会活動を行うことが症状の軽減や機能の維持に大切です。コルセットの有効性は少なく、また、体動不能なほどに痛みが強い時や発熱時など以外はとくに安静も不要です。
股関節や膝関節の痛みが激しく、動きも悪くなって歩行や日常生活に強い支障をきたすようになった場合には、人工関節全置換手術が行われ、その結果、再び歩行が可能となり社会復帰ができます。
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