特発性両側性感音難聴

 原因不明の感音難聴のなかで、両側性に難聴が進行する病気です。
 めまいを反復するものや遺伝性の疾患は除外されます。

 特発性両側性感音難聴の原因は未だ不明です。進行する両側性感音難聴のうち原因不明のものを特発性両側性感音難聴と呼んでいます。特発性両側性感音難聴とされるもののうち、若年発症のものには家族歴に血族結婚や難聴者の存在することが多 く、遺伝的素因の関与が考えられています。成人になって発症したものには後天性の、または外的因子の関与も考えられています。ただし最近の遺伝子研究の進歩により、遺伝子異常によることが明らかな難聴は遺伝性難聴として特発性両側性感音難聴から除外されつつあります。

 家族性に発症する難聴は遺伝性難聴として除外されますので、特発性両側性感音難聴には遺伝することが明らかな難聴は含まれないことになります。ただし遺伝性難聴の研究が進み、難聴の原因遺伝子が同定されつつありますから、家族に難聴者のいない特発性両側性感音難聴の患者さんの遺伝子異常も見つけられるようになるかも知れません。

 すでに存在していた難聴が急に進行して、または徐々に進行した結果聞き取りに不自由を自覚して病院を受診することが多いようです。 難聴は両側同時に進行するとは限らないため、左右の難聴の程度が異なることもあります。また、進行の程度も一様ではなく、一気に高度難聴になることもあれば、徐々に段階的に進行することもあります。難聴は最終的には聾になることもあります。随判症状として耳鳴りをともなうことは稀ではありませんが、めまいを訴えることは少ないようです。めまい発作を繰り返すものは、この疾患から除外されます。難聴が両側に生じるため、コミュニケーション障害が最も深刻な問題となります。

 特発性進行性感音難聴は遺伝性難聴との関連が注目されており、何らかの遺伝子異常が関与している可能性があります。しかし、その発症に関与する遺伝子座などの詳細は明らかではありません。原因となる遺伝子異常が明らかになれば、将来的には遺伝子治療が行える可能性があります。現時点では特発性進行性感音難聴の治療には他の感音難聴と同様に血管拡張剤、代謝賦活剤、ビタミン製剤などが用いられています。これらの治療薬も難聴の治療を目的とするよりも、進行防止を期待して用いられています。また、難聴の急性進行期にはステロイド剤が用いられています。一般に特発性進行性感音難聴の進行は緩徐であり、薬剤の効果を正確に判定することは困難なため、これらの治療薬の有効性は未だ明確ではありません。

 数年間にわたって難聴がほとんど進行しない症例もありますが、一般には上記治療を行っても感音難聴が徐々に進行すると考えられます。平均すると1年間に約1dB程度、難聴が進行すると言われています。時に難聴が急速に進行することもあります。 このため、病院で定期的に聴力検査を受け、難聴の進行の有無を監視してもらうことが必要です。聴力を定期的に記録しておくと、経過中に急に聴力が悪化した場合にその程度を正確に把握することができ、治療法に反映することができます。

 

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