頚椎後縦靭帯骨化症

 ヒトの神経には、脳からの命令を手足に伝える役目を担っている運動神経と、手足や体の各部からの知覚情報(熱い・痛いなどの感覚)を脳に伝える知覚神経があります。これらの神経は、人体の中心部では背骨の中の空間(脊柱管とよばれます)に保護されるような形で存在しています。この部分の神経は脊髄と名付けられています。頸部の脊髄からは、手や肩に向かう神経が枝分かれしており、神経根と呼ばれています。各神経根は比較的狭い骨の間隙(椎間孔と呼ばれます)を通って手や肩に向かっています。頸部のところで脊髄を中に納めている骨は頸椎と呼ばれます。頸椎は全部で7つあり、上から順に第一頸椎、第二頸椎と名付けられます。これらの7つの骨は幾つかの靱帯組織により連結されています。これらの靱帯のなかで、脊髄の腹側にあって頸椎を縦につないでいるものが後縦靱帯と呼ばれる靱帯です。後縦靱帯骨化症とはこの靱帯が通常の何倍もの厚さになり、なおかつ骨の様に硬くなり(靱帯の骨化)、徐々に脊髄を圧迫してくる病気です。

 この病気は欧米人に比較して明らかに私たち日本人では高頻度に発生することが知られていますが、残念ながらなぜこの様な靱帯の骨化が生じてくるのかに関しては原因は分かっていません。

症状
 一側の上肢の特定の部分に「しびれ」や鈍痛が出現します。また時には、両手の「しびれ」がみられたり、両手を使った細かい動作(箸を使う動作・ボタンをかける動作・ぺージをめくる動作など:いわゆる巧緻運動)が徐々に出来にくくなったり、両足が足先から段々と「しびれ」てきたり、歩行がなんとなく不自由になるなどの症状が出現します。時には、道で転倒するなどの比較的軽い外傷にもかかわらず、外傷後に急激に四肢麻痺などの極めて重い症状が出現することもあります。

治療法
 この病気は経過が様々なものであること、病気の進行が正確には予測できないことから、まずは慎重な経過観察を行いながら、手術以外のいわゆる保存的療法と呼ばれる治療法を行うことを原則とします。たまたま発見された場合には、特に治療はせずに経過を定期的に観察することとなります。

 

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