日本赤十字社事件 東京地裁判決(昭和45年11月30日)

(分類)

 賃金

(概要)

 退職金債権の譲渡通知後に送達された右退職金債権に対する差押、転付命令に従い、譲受人とは別人に退職金相当額を支払った病院に対し、元病院職員が、右転付命令は譲渡通知後に送達された無効のものであるとして本人への退職金の支払等求めた事例。

(退職金の支払にのみ認容)

 本件退職金の支払時期については前記就業規則および退職給与金支給規程上別段の定めはないのであるから、被告は、原告から退職金支払の請求を受けた場合は7日以内に支払うことを義務づけられているものと解するを相当とする(労働基準法第23条第1項)。
 このように退職金の支給条件および支給内容が就業規則によって明確化されている場合、その退職金の法律上の性質は労働基準法第11条にいう労働の対償としての賃金にあたるものというべきである。  したがって、原告が本件退職金債権を訴外A金庫に譲渡したことは上記のとおりであるけれども、労働基準法第24条第1項本文の法意に鑑みると、譲受人たる右訴外金庫が直接被告に対して支払を請求することは許されないのであって、原告は、依然として本件退職金債権の取立権能を保有し、その取立に必要な一切の権利を自己の名で裁判上および裁判外において行使することができるものと解するを相当とする。

(関係法令)

 労働基準法11条,23条,24条1項

(判例集・解説)

 労働判例117号96頁

 

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