北海道国際航空事件 最高裁第1小(平成15.12.18)

(分類)

 賃金  就業規則

(概要)

 年俸840万円(月70万円25日払い)の契約で雇用された部長職の労働者に対し、課長以上の賃金減額が不可避となった使用者が7月18日に1日に遡っての20%の減額を伝え、25日までに就業規則にその旨定めたが、当該労働者が遡及しての減額は違法であると述べ、また、賃金規程に「月の途中において基本賃金を変更または指定した場合は、当月分の賃金は新旧いずれか高額の基本賃金を支払う」と定められていた事案において、7月1日の減額に係る請求をすべて棄却した一審及び原審に対し、「既発生の賃金債権のを放棄する意思表示の効力を肯定するにはそれが労働者の自由な意思に基づいてされたことが明確でなければならない」とし、「改正後の賃金規程が同月(7月)24日以前に効力を生じていた事実は確定されておらず、具体的に発生した賃金請求権を事後に変更された就業規則の遡及適用により処分または変更することは許されない」として、24日までの賃金について、月額70万円の割合で請求できるとし、25日から31日までの分については、賃金減額の同意は認めつつ、就業規則で新旧いずれか高額の賃金を払うとされていることから、「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とされ」るとして、月額70万円の割合で支払いを求められるとして、変更当月の7月分の部分について原審を破棄、一審を取り消し、請求を認容するもの。

(関係法令)

 労働基準法

(判例集・解説)

 労判866・14

(関連判例)

 シンガー・ソーイング・メシーン事件 最高裁第2小(昭和48・1・19) 
 朝日火災海上保険(高田)事件 最高裁第3小(平成8・3・26)  
 福岡雙葉学園事件 最高裁第3小(平成19.12.18)  

 

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