丸中製糸事件 長野地裁諏訪支部判決(昭和59年3月26日)
(分類)
退職
(概要)
新会社の設立後そこに再雇用されることを条件としてなした従業員の退職の意思表示の効力が争われた事例。
右の事実によれば、そもそも原告番号1ないし50の各原告が退職の意思表示をする際、新会社を設立し、再雇傭を図ることは不可能な状態にあったものと解するのが相当であり、また退職金も被告会社においては全額を支払う意思はなかったもので、したがってこれらを信じてなされた右各原告の意思表示は、動機に錯誤があったものと解される。そして前記認定のとおり右動機は被告会社に対し表示されしたがって意思表示の内容となっていたものであるところ、右錯誤がなければ原告番号1ないし50の各原告は退職の意思表示をしなかったであろうと考えられ、また意思表示をしないことが一般の通念に照らし至当と解されるから、結局右意思表示には要素の錯誤があったものとして、無効と解すべきである。
(関係法令)
労働基準法2章 民法95条
(判例集・解説)
労経速報1192号5頁 労働判例435号74頁
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