森島事件 最高裁判所大法廷(平成5年3月24日)

(分類)

 退職金

(概要)

1.地方公務員等共済組合法の規定により退職年金を受給していた者が第三者の不法行為によって死亡した場合、被害者の相続人が被害者の死亡によって取得した同法による遺族年金の受給権のうち、支給を受けることが確定した金額を加害者の賠償すべき損害額から控除すべきである。

2.
(1) 被害者が不法行為によって損害を被ると同時に、同一の原因によって利益を受ける場合には、損害と利益との間に同質性がある限り、公平の見地から、その利益の額を損害額から控除することによって損益相殺的な調整を図る必要がある。

(2) 退職年金を受給していた者が交通事故によって死亡したことにより、相続人が右退職年金を被害者の損害として賠償を求める場合において、右相続人のうちに、退職年金の受給者の死亡を原因として遺族年金の受給権を取得した者があるときは、遺族年金の支給を受けるべき者につき、支給を受けることが確定した遺族年金の額の限度で、損害額からこれを控除するのが相当である。

3.地方公務員等共済組合法(昭和60年法律108号改正前)の規定に基づく退職年金の受給者が不法行為によって死亡した場合に、その相続人が被害者の死亡を原因として同法の規定に基づく遺族年金の受給権を取得したときは、支給を受けることが確定した遺族年金の額の限度で、これを加害者の賠償すべき損害額から控除すべきである。

(判例集・解説)

 裁判所時報1095号1頁  最高裁判所民事判例集47巻4号3039頁
 金融・商事判例950号3頁  判例タイムズ853号63頁
 判例時報1499号51頁  金融法務事情1409号129頁

 

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