障害年金診断書の留意すること
・請求傷病、障害の部位・状態に適した様式か。
「氏名」「生年月日」「性別」「住所」欄
・すべて記載されているか。
・請求者の氏名、生年月日、性別、住所が裁定請求書と一致しているか。
「障害の原因となった傷病名」欄
ここに書かれた傷病名が障害年金請求の原因傷病となります。
・記載漏れや不備などがないこと。
・『初診日から障害認定日までの間の医療が継続され、しかも、障害認定日において一定の基準以上の永続性のある障害を認める傷病』ということに合っているか。
・診断書の様式と傷病名等が合致しているか。
・請求書、「病歴・就労状況等申立書」に記入された傷病名と同じであるか。
精神の傷病の場合、「①障害の原因となった傷病名」欄に、精神の障害年金の認定対象となる精神疾患名とそのICD-10コードが記載されていること。ICD-10コードとは、世界保健機関(WHO)によって定められた、疾病や死因の分類で医療機関の医療記録に使われる数字です。
傷病名が、神経症(ICD-10コードのF40~F48)や人格障害(ICD-10コードのF60~F69)のみとなっていないことを確認してください。
神経症と書かれていた場合について、神経症は障害年金の対象ではありません。しかし、例外として、備考欄にICD-10コードとともに「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想型障害(F20~F29)」又は「気分障害(F30~F39)」が出ている旨が記載してあるかを確認してください。この記載が備考欄にあれば支給対象になる可能性があります。
気分障害(F30~F39)神経症(F40~F48)が併記されている場合は、例えば、障害年金の対象である鬱病と対象ではないパニック障害が併記した場合には、鬱病の病態からパニック障害の病態を差し引くという認定が行われる場合があります。この場合には生活能力の低下がどちらによるものなのかを明確にして医師に書いてもらうよう注意する必要があります。
「傷病の発生年月日」
障害年金の支給を求める傷病がいつ発病したものかの記載。
・記載漏れや不備などがないこと。
・「診断録で確認」又は「本人の申立て」に ○ があるか。
・『本人の申立て』に ○ が付されている場合には、( )内に聴取年月日の記載があるか。
・請求書に記載されている初診(発病)年月日より前の日付となっていないか。
・「受診状況等証明書」の添付がない場合、「病歴、就労状況等申立書」に記入は、この発生年月日の状態から書かれているか。
「初めて医師の診療を受けた日」
・記載漏れや不備などがないこと。
・障害年金の支給を求める傷病について、初めて医師の診断を受けた日(初診日)が記載されていること。
・その傷病について、前医があるときは、前医での診療を受けた日となっていること。
・「病歴・就労状況等申立書」に記載されている初診日と合致しているか確認すること。
・請求書に記載されている初診(発病)年月日より前の日付になっていないか。
・「受診状況等証明書」の添付がある場合、初診年月日が診断書と前後していないか。
・「受診状況等証明書」の添付がない場合、『診療禄で確認』に ○ があるか。
・「診断録で確認」又は「本人の申立て」に ○ があるか。
『本人の申立て』に ○ が付されている場合には、( )内に聴取年月日の記載があるか。
「傷病の原因又は誘因」 初診年月日(昭和・平成 年 月 日 )
・「受診状況等証明書」の添付がある場合、初診(発病)年月日が診断書と前後していないか。
・「受診状況等証明書」の添付がない場合、障害の原因となった傷病のため、初めて医師の診療を受けた日と同じ年月日であるか。
「既存障害」
障害が2つ以上あるときに、それらの障害を合わせて障害の程度を認定するときや、「初めて2級の障害年金」の申請を行うときに記入するものです。
・請求書に記載されている初診(発病)年月日より前の日付となっていないか
・因果関係のある傷病等が記入されている場合、その病気にかかる「受診状況等証明書」の添付があるか。
「既往症」
「①障害の原因となった傷病名」欄との因果関係のある病気やケガをしたかどうかを確認するためのものです。
例えば、交通事故で頭を打ってケガをした場合、精神障害と因果関係があり同一傷病と判断されて初診日が変わってしまうことがある。
・因果関係のある傷病等が記入されている場合、その病気にかかる「受診状況等証明書」の添付があるか。
「傷病が治った(症状が固定して治療の効果が期待できない状態を含む)かどうか」
傷病が治っている場合 治った日・・・平成 年 月 日 確定・推定
傷病が治っていない場合 症状のよくなる見込・・・有・無・不明
・記載漏れや不備などがないこと。
・障害認定日は、初診から1年6ヵ月を経過した日、またはその期間内に症状が治った日(症状固定日)になる。
脳血管障害で、初診日から1年6ヵ月を経過する前に症状固定で請求する場合、固定年月日の記入が確認として書かれているか
「ア 発育・養育歴」
知的障害や発達障害に関して、過去の経過を見るための欄となります。
問題ない場合は、「特記すべきとこなし」等と記載してもらってください。
「診断書作成医療機関における初診時所見」 初診年月日(昭和・平成 年 月 日 )
診断書を作成してもらった医療機関の初めて受診した日と診療の所見を書く欄です。
・記載漏れがないこと。
・日付が記入されているか。
・「受診状況等証明書」の添付がない場合、障害の原因となった傷病のため、初めて医師の診療を受けた日と同じ年月日であるか。
・初診時所見に前医の記載がないか。
記入内容から、前医での受診歴がある場合は、それにかかる「受診状況等証明書」が必要。
・精神障害の診断書については、病気の性質上、精神保健指定医または精神科を標榜する医師により作成されていること。
ただし、脳血管障害により高次脳機能が発症している場合など、精神症状を伴っていない状態である場合は、障害発生時から通院している脳外科の医師の診断書でも状態が確認できれば認められる場合がある。
「現在までの治療の内容、期間、経過、その他参考となる事項」
・治療の内容等が記入されているか。
・障害認定日となる手術名、手術年月日等の記入があるか。
・診療回数が記入されているか。
・結核の場合、化学療法の使用薬剤、使用期間が記入されているか。
「障害の状態(平成 年 月 日 現症)」
・障害年金の支給を求める傷病について、現症の日が正しく記載されていること。
(現症日の捉え方)
① 新規請求の場合
障害認定日か障害認定日以降3ヵ月以内の日
障害認定日以前に傷病が治った(固定した)もの その治った日(固定した日)
事後重症制度による請求の場合 請求日以前3ヵ月以内の日であること
(上記該当日のみの審査を希望する場合は、その該当の事実が確認できる直近の診断書1枚でも差支えない。)
② 再審査(有期再認定)の場合
診断書の提出を求められた受給権者が診断を受けた時点の現症の日
③ 年金額の改定 支給停止事由消滅届などの場合
受給権者がその届書を提出するために診断を受けた日
・上肢・下肢の切断(離断)による機能障害の場合は、⑪欄に必ず記載されていること。
・脳血管疾患等による広範囲にわたる障害の場合は、⑪欄の「外観」「起立部位」「種類及びその程度」「反射」「その他」 ⑭欄 「握力」 ⑮欄 「手(足)指関節の他動可動域」が必ず記載されていること。
・記載漏れや不備のないことを確認すること。
・障害認定日分、請求日分等それぞれに妥当な日付が記載されているか。
「現症時の日常生活能力及び労働能力」
・日常生活がどのような状況で あるのか、また、どの程度の労働ができるのかなどが記載されていること。
・日常生活活動能力・労働能力の程度が、本人の状況を正確に表していること。
例えば、「軽労働は可能」などと記載されると、労働能力ありと見なされる場合があります。
就職していない場合はこの欄のどこかに「無職」と書いてもらう、もしくは抹消してもらいましょう。休職中の場合は給与や出勤日数のなどは記載せず、「休職中」とだけ書いてもらいましょう。
就労している場合で、就労状況を国に具体的に伝える必要があるときには、以下のような事項をできるだけ詳細に医師に記入してもらうようにしましょう。
最低賃金が保障されている一般就労なのか作業所などでの福祉的就労なのか
就労支援施設の種別はAかBか。(Aは雇用契約により就労し原則として最低賃金が保障されるBは作業所などの非雇用型)
障害者雇用か否か
親族経営している会社か否か
労働内容(単純作業か、自ら判断する要素は多いのか)
保護的環境、指示、援助および見守りの具体的な内容とその程度(誰が何をどのように援助しているのか、常時なのか、労働時間のうち何割程度なのか)
勤続期間
今後も就労を継続できる見込みの程度
上司や同僚との関係
通勤の状況(通勤手段、方法、付き添いが必か) など
労働できない場合はできるだけ「就労不能」や「労働能力はない」と明確に書いてもらいましょう。場合によっては「就労困難」と書かれる事があります。しかし、この言葉は、就労はできるけど、一般的な人より働けない程度の病態だと認定側に勘違いを招く恐れがあるので避けるべきでしょう。
作業所などでの就労は一般的な労働といえないので、労働能力なしといえます。
障害によって短時間の業務にしか耐えられない場合や対人関係がうまくいかずに他人と関わりの少ない業務にしか従事できない場合は、労働能力に制限を受けると判断できるでしょう。
重要なのは、障害があることによってそれが日常生活にどれくらい影響を及ぼしているかが、きちんと記入されているということです。
ところが、医師から食事はとれていますかと聞かれた場合、家族等が準備した食事を食べていると答えた場合は、「できる」と医師に判断されてしまいます。 医師にこうした判断をされると「日常生活能力の判定」の7つの項目の多くで「できる」又は 「自発的にできるが時には助言や指導を必要とする」にチェックマークをいれられてしまいます。 この原因の一つと考えられるのは、患者が医師の診察を受ける時は、比較的体調の良い時なので、その時を基準として、医師が日常生活能力を推定することにあります。こうして、実態は2級状態にあるにも係らず、診断書では日常生活能力が軽く書かれてしまい、「不支給」という結果を招いてしまうのです。うつ病の場合、日によって症状にかなりの差があります。 調査日にたまたま調子が良かった場合、調子の良い状態での日常生活能力を伝えてしまうと、そのまま調査結果に反映されてしまうおそれがあります。
日常の生活能力の判定 では
請求者が家族などの助けを必要とせず、単身で生活するとした場合、それが可能かどうかを判定するというものです。この「日常生活能力」は、日常生活における個々の動作の身体的遂行能力を問うたものではないということです。例えば、「目の前に食べ物があれば 一人で箸とかスプーンを使って食べることができるかどうか」という質問は、肢体障害の場合における日常生活動作の自立の程度を問う質問です。しかし、知的障害者の場合の障害程度の評価は、こうした日常生活動作のレベルで自立できているかどうかではなく、判断力や計画性が問われているのです。ここでの評価の基準は、社会人としての平均的な環境(アパートなどでの一人暮らし)での、平均的な日常生活能力が想定されているということです。
労働能力について
障害により上司の命令を受け自己の仕事を遂行できるか、同僚と協力して自己の仕事を遂行できるか、仕事を遂行する際にどれだけ周りから支援を受けているかで判断します。
「予後」
・診断時点においてに断定できない場合であっても、「不詳」などのように記載されていること。
「予後」とは今後病状がどんなふうに変化していくかと言う医学的な見通しのことです。
予後欄がある理由について、障害の程度を評価は、障害認定日や、事後重症における現症日だけでなく、今後1年間で良くなるか、悪化するか、変わらないかを含めて判断がされることになります。この欄に明白に改善の見込みがあるような記述があれば、障害の程度については軽く判定されることとなります。
予後不良の場合
薬物抵抗性(薬が効かない)を示していたり、破瓜型統合失調症(ICD-10コードF20.1)と診断されていたりすると、長期的治療を要することとなりますので、予後不良の場合その理由まで明記してもらうとよい。
「診断書の作成年月日、病院又は診療所の名称・所在地、診療担当科名、医師の氏名及び押印」
・記載漏れがないこと。
(傷病毎の確認)
○第120号の1 眼の障害
・矯正視力欄の記入もれはないか。
・視野障害があるときは、視野の測定値(1/4、1/2等)が記載されているか。
(ゴールドマン視野計および自動視野計それに準ずるものでの測定)
・「矯正視力」欄は眼鏡またはコンタクトレンズによって得られた視力が記入されていること。
・矯正できない場合は、「矯正不能」と記入されているか確認すること
・「障害の状態」「現症時の日常生活活動能力及び労働能力」「予後」欄 は記載されていること。
・裸眼が国年齢別表値以下であり矯正視力がこれを超える場合は 「常時眼鏡使用に耐えられるかどうか」診断書の備考欄に記載されているか確認すること。
両眼の視力障害と視野狭窄が並存する場合は、日常生活状況などを調査し、認定が行われる。
・糖尿病性網膜症の場合は、因果関係のある糖尿病の受診状況等証明書等の添付がされていること。
○第120号の2 聴覚、鼻腔機能、平衡感覚、そしゃく・下機能、言語機能の障害
⑩(1) 聴覚の障害
・聴力レベル 右・左 のデシベル値が記載されていることを確認。
(聴力損失のデシベル値 = 聴力レベルのデシベル値 - 100デシベル)
・両耳の平均純音聴力レベル値が90デシベル未満の場合は、最良語音明瞭度が記載されていること
(これと聴力の組み合わせにより、2級または3級に該当する場合がある。)
⑩(2) 鼻孔機能の障害
症状が記載されていることを確認。
⑩(3) 平衡機能の障害
症状が記載されていることを確認。
⑩(4) そしゃく・嚥下機能の障害
症状が記載されていることを確認。
⑩(5) 言語(音・音声)機能の障害
症状が記載されていることを確認。
○第120号の3 肢体の障害
脳血管疾患による機能障害の場合
・⑭ 握力 ⑮ 手(足)指関節の他動可動域欄は必ず記載されていること。
(他動可動域欄は、障害が片側でも健側についても記入。)
・⑯ 関節可動域および筋力 ⑱ 日常生活における動作の障害の程度 ⑲ 補助用具使用状況 ⑳ その他の精神・身体の障害の状態 欄が必ず記載されていること。
・脳血管障害で、初診日から1年6ヵ月を経過する前に症状固定で請求する場合、「傷病が治った(症状が固定して治療の効果が期待できない状態を含む)かどうか」欄の固定年月日の記入が確認として書かれていること。
・1年6ヵ月末経過で請求する場合、⑦ 傷病が治っている場合 に6ヵ月以上経過し日付と確認に ○ が付いているか確認すること。
病名が上肢・下肢切断の場合
・⑪ 切断又は離断・変形・麻痺 ⑰ 四肢長及び四肢囲 ⑱ 日常生活における動作の障害の程度 ⑲ 補助用具使用状況 欄は必ず記載されていること。
・⑪ 切断又は離断・変形・麻痺、⑱ 日常生活における動作の障害の程度 の整合性を確認すること。
慢性関節リュウマチ等による全身症状の伴う機能障害
・⑰ 四肢長及び四肢囲 ⑱ 日常生活における動作の障害の程度 ⑲ 補助用具使用状況欄は必ず記載されていること。
・関節リウマチについて、握力について最低限記入が必要。
両側変形性股関節症等により、人工頭骨または人工関節の挿入置換を行っている場合
・⑬ 人工頭骨・人工関節の装置の状態 欄は必ず記載されていること。
⑮ 手(足)指関節の他動可動域
・障害が左(右)いずれかのみの場合は、健側についても必ず記入されていること。
⑯ 関節可動域および筋力
・関節可動域(角度) 欄
障害が左(右)いずれかのみの場合は、健側についても必ず記入されていること。
自動可動域および他動可動域の両方について記入されていること。
・股関節屈曲値は、1 または 2 のいずれで測定したものか、○ が付してあること。
⑱ 日常生活における動作の障害の程度
・補助用具を使用しない状態で記入すること。
⑳ その他の精神・身体の障害の状態
・脳血管障害などにより言語障害がある場合は、会話状態などを記入すること。
癌疾患で、障害の状態が肢体等で日常生活に制限を受けている場合、肢体の診断書の提出を促すこと。
肢体の傷病の場合、整形外科関係の専門外の医師が診断書を書くことは可能。
特別児童扶養手当受給対象者であっても、原則として診断書は必要である。ただし、四肢の欠損、無眼球などの場合は省略できる。
○第120号の4 精神の障害
傷病名および ICD-10 コードが必ず記載されていること。
② 傷病の発生年月日、③ 初めて医師の診療を受けた日 欄が本人の申し立てによる場合、その申立年月日が初診時問診での確認か、診断書持参時の申し立てかの判断のため、年月日の記載は必須。
⑦ 発病から現在までの病歴
・陳述者が本人でない場合は、続柄、聴取年月日等が記載されているか
・記入内容から、前医での受診歴がある場合は、それにかかる「受診状況等証明書」が必要。
⑨ 障害と関連があると考えられる発育・養育歴等
・⑨-ア欄(発育・養育歴)
記載されていることを確認。
・⑨-イ欄(教育歴(最終学歴))
記載されていることを確認。
・⑨-ウ欄(職歴)
記載されていることを確認。
・⑨-エ欄(治療歴)
記載されていることを確認。
・書かれている医療機関名と「病歴、就労状況等申立書」に書かれた内容との整合性があるか。
・20歳前の治療歴がある場合、障害厚生年金の請求となりえるか。
⑩ 障害の状態 欄
・⑩-ア欄(現在の病状又は状態等)
記載されていることを確認。
・⑩-イ欄(左記の状態について、その程度・症状を具体的に記載してください。)
記載されていることを確認。
・⑩-ウ欄(日常生活状況)
記載されていることを確認。
・日常生活状況 欄と日常生活能力の程度 欄に不整合はみられないか。
ここでの診断書は、他の疾病の場合と異なり、日常生活能力の判定等が詳細になります。
オ「身体所見(神経学的な所見を含む)」欄
精神の障害による言動以外の障害を併発してる場合に記載をする欄となります。
例えば、肢体の障害が併発しているような場合は併合認定により、より重度の障害年金が受給できます。
カ「臨床検査(心理テスト(知的障害の場合には、知能指数、精神年齢)を含む)」欄
知的障害や発達障害の場合は、知能指数や精神年齢は必ず記入してもらい、認知障害の場合は認知検査をされているときは、その結果を、検査日とともに記入してもらってください。
キ「福祉サービス利用状況」欄
障害者自立支援法に規定する自立訓練、共同生活援助、共同生活介護、在宅介護、その他障害福祉サービス等を利用している場合はその具体的な内容、頻度、週の時間などを記入してもらいます。
精神遅滞の場合
・知能指数(または知能年齢)が臨床検査欄に記入されていること。
精神の障害については、精神遅滞を除いて、数値による基準がない。そのため、記入もれがないと同時に、詳細な記載がされていることが返戻を防止するとともに、実態に合った等級が決定されることとなる。
精神薄弱などの障害の場合
・⑨-ア・イ・ウ ⑩-エ・オ欄が必ず記載されていること。
・⑪ 現症時の日常生活活動能力及び労働能力 欄が記載されていること。
⑬ 備考 欄
①障害の原因となった傷病名 欄に神経症圏(ICD-10 コード 「F4」)の傷病名を記入した場合で、「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」または「気分(感情)障害」の病態を示しているときは、その旨と示している病態のICD-10 コードが記載されていること。
(ICD-10 コードが「F4」のみでは対象外)
「診断書の作成年月日、病院又は診療所の名称・所在地、診療担当科名、医師の氏名及び押印」
病院名、診療科名を確認すること。
① 障害の原因となった傷病名 が『統合失調症』『躁鬱病』などの精神障害の場合、診断書作成医師は、精神科医または精神保険指定医であるか確認すること。
ただし、てんかん、知的障害、発達障害、認知症および高次脳機能障害等診療科が多岐に分かれている疾患について、小児科、脳神経外科、神経内科、リハビリテーション科、老年科等を専門とする医師が主治医となっている場合、これらの科の医師であっても、精神・神経障害の診断または治療に従事している医師であれば、作成できることとしている。
・身体障害者手帳または療養手帳の交付を受けている人は、写しを添付させること。
知的障害に限り、療養手帳を受けた診断書でよい。
○第120号の5 呼吸器疾患の障害
・傷病に応じて必要な欄の記載がされていること
・⑩ 共通項目 欄、⑪ 肺結核症 欄、⑫ じん肺 欄、⑬ 気管支喘息 欄 は、傷病に応じて、必要所見、検査結果の数値が記入されていること。
⑩ 共通項目 欄
・⑩ 共通項目 欄は、必須項目である。呼吸器疾患においては、結核・じん肺・気管支喘息等いずれも記載が必須。
呼吸不全の状態がない場合でも必ず記入されていること。
・動脈血ガス分析値は安静状態の計測値であり、酸素吸入施工中の値であるときは、酸素吸入量が付記されていること。
・⑩ 3 一般状態区分表 ⑮ 現症時の日常生活能力及び労働能力 ⑯ 予後 の各欄に記入漏れがないか確認すること。
・呼吸器系結核 肺化濃症 けい肺(類似するじん肺症を含む)の傷病は、3ヵ月以内のレントゲンフイルムの添付もれがないこと。
○第120号の6-(1) 循環器疾患の障害用
⑩ 計測 欄
・必ず記載されていること。
⑪ 循環器疾患 (平成 年 月 日現症) 欄
・必ず記載されていること。
・ 1 臨床所見 2 一般状態区分表 3 検査所見 については、必要と思われる項目について記載されていること。
・心疾患の場合、左室駆出率EF値が記入されていること。
・心臓ペースメーカー、植込み型除細動器(ICD)および人工弁を装着した場合は、1臨床所見 2 一般状態区分表 3 検査所見 については、心臓ペースメーカー等を装着した日以後の現症が記載されていること。
・検査所見の測定年月日は、現症日に近いものであること。
・心疾患は3ヵ月以内の心電図(コピー)が添付されていること。
心臓ペースメーカー装着の場合は、心電図は不要。
診断書にある心カテーテル検査等について、患者への身体的負担が大きい検査は必須ではなく、過去に行った当該検査結果の参考記載でも可とする。
・高血圧による障害の程度は、眼、脳、心、腎臓などの合併症の有無を確認すること。
*人工弁(弁置換術)には、機械弁、生体弁、ホモグラフトの3種類があり、弁形成術に使用する人工弁輪は、人工弁ではない。
○第120号の6-(2) 腎疾患、肝疾患、糖尿病の障害
腎疾患の場合
・⑩ 計測 ⑪ 一般状態区分表 ⑫ 腎疾患 の欄が必ず記載されていること
・⑮ その他の代謝疾患 の欄が記載されていること。
・⑫ 腎疾患欄 3 の人工透析法について、人工透析開始日が記入されているか、血液透析の場合は、回数、時間等が記入されているか確認すること。
・人工透析療法を施行している場合は、施行後の現症が記載されていること。
・初診日から1年6ヵ月経過前に人工透析療法を始めた場合、検査成績等は、人工透析療法後の数値等が記入されていること。
・人工透析療法の開始年月日や透析回数の記入もれはないか。
(検査成績は透析前の成績による。)
・腎機能検査の検査成績は、その性質上変動しやすい。
過去6ヵ月以内における2回以上の検査成績が記入してあるか。
肝疾患
・⑩ 計測 ⑪ 一般状態区分表 ⑬ 肝疾患 の欄が必ず記載されていること。
・肝機能検査の検査成績は、その性質上変動しやすい。過去6ヵ月以内における2回以上の検査成績が記入してあるか。
・⑬ 肝疾患欄 1 臨床所見(腹水、浮腫、黄 等の症状等)、(3)検査成績(総ビリルビン、血清アルブミン、血小板数等)、3 食道静脈瘤 の項目に記入漏れがないか確認すること。
糖尿病疾患
・⑩ 計測 ⑪ 一般状態区分表 ⑭ 糖尿病 の欄が必ず記載されていること。
・⑭ 糖尿病 欄のヘモグロビンAlc、空腹時の血糖値は、必ず両方の数値が記入されていること。
・⑮ その他の代謝疾患 の欄が記載されているか。
・糖尿病による障害の程度は、眼、脳、心臓、腎臓などの合併症の有無を確認すること。
・糖尿病で網膜症の合併症がある場合、視力欄に検査成績、検査年月日が記載されているか。
できるだけ視力障害の診断書を添付させること。
・空腹時血糖検査の検査成績は、その性質上変動しやすい。
過去6ヵ月以内における2回以上の検査成績が記入してあるか。
○第120号の7 血液・造血器その他の障害
血液・造血器疾患
・⑫ 一般状態区分表 欄
記載されていることを確認。
・⑬ 血液・造血器 欄
記載されていることを確認。
その他の疾患
・⑭ その他の障害 欄
記載されていることを確認。
・直腸腫瘍、膀胱腫瘍の場合は、⑭ その他の障害 欄が必ず記載されていること。
・癌疾患で、障害の状態が肢体等で、日常生活に制限を受けている場合は、肢体の診断書の提出が必要。
・障害の出現している部位、状態が多岐にわたっているときは、複数の診断書が必要。
・請求傷病が複数あり明らかに相当因果関係がないと思われる場合は、それぞれの初診日(発病日)が確認できる医証(受診状況等証明書、診断書)が添付されているか確認。
・ヒト免疫不全ウイルス感染症およびその続発症の場合、治療による障害の副作用を含め、広範な障害が起きている可能性があって、必ずしも「その他の障害用診断書」に記載されるものではない。
・CD4値、HIV-RNA量は、いずれの診断書にも検査項目としては指定されていないが、必ず記載されていること。
・化学物質過敏症 ⇒ 血液・造血器
・その他の障害用の診断書 ・慢性疲労症候群 ⇒ 血液・造血器
・その他の障害用の診断書 ・線維筋痛症 ⇒ 肢体の障害用の診断書
・脳脊髄液減少症 ⇒ 肢体の障害用の診断書
これらの診断書の他に、「照会様式」という書類を医師に記入をお願いして、診断書と併せて提出することになっています。理由としては、これらの病気は「確立された医学的知見が存在しない状況にあり、具体的な認定基準等も定められていないため」です。診断書ではその状態について判断が難しいということです。
障害認定日後3月以内の診断書が無くても、その後の診断書から障害認定日時点の症状が「傷病による障害の程度が「非可逆的に悪化する(悪くなることはあっても良くなることは無い)」、または、時間の経過によっても、ある時点以降はその程度が変化しないことが確立した医学的知見等から認められる」とした例があります。
平成21年(厚)第386号 平成22年3月31日裁決
「手関節開放骨折、示指から小指の伸筋腱断裂という負傷の障害認定日以後に手術を受けリハビリテーションを受けた後の診断書を添付した例」
障害認定日当時の現症に係る診断書が提出されていないので、保険者は、障害認定日における請求人の当該傷病による障害の状 態を認定することができないとしている のに対し、請求人は当該傷病の治療の経過、その医学的特質等からそれは可能で あり、その障害の程度は、少なくとも、厚年令別表第1に定める程度であったと申し立てているのであるから、本件の問 題点は、本件における当該傷病に係る具体的事実関係、確立された医学的知見等 から、請求人の上記申立てを採用することができるかどうかである。
障害の程度の認定は、障害給付に関する権利の発生等に係るものである から、実際に障害給付の支給請求者を 診た医師等がその当時作成したカルテ 等に基づく診断書によりそれを行うの が原則であるけれども、その傷病の医学的特性や治療経過等から、傷病による障害の程度が非可逆的に悪化する、 または、時間の経過によっても、ある 時点以降はその程度が変化しないことが確立した医学的知見等から認められる場合は、その当時を推定した診断書等によることも否定されないと解される。
請求人の当該傷病による障害の程度のさらなる改善のため最後手術が行われ、それ以降リハビリテーションを受けたものの、障害認定日後、その程度はほとんど変わらず厚年令別表第1に定める程度の障害の状態にあった ことが認められ、最後手術前の平成Ⅹ年Ⅹ月Ⅹ日当時(障害認定日)において、請求人の当該傷病による障害の状態は、少なくとも厚年令別表第1に定める程度以上であったと認められる。
医師への診断書の作成依頼
日本国憲法第25条では第1項で「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」、第2項で「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と規定しています。私達には健康で文化的な最低限度の生活を営む権利があり、年をとって収入がなくなったりしたとき・障害の状態になったとき・働き手が死亡したときにあっても、健康で文化的な最低限度の生活を営むために、それぞれ老齢年金・障害年金・遺族年金があるのです。これは憲法で保障された私達の権利なのです。
医師が診断書の記載を拒んだ場合
医師法第19条第2項にて以下のように規定されています。
「診察や検案をした医師または出産に立ち会った医師は、診断書や検案書、または出生証明書や死産証書の交付が求められたときには、正当な事由がなければ、これを拒否できない。」
正当な事由とは
・恐喝等の不正の目的に利用される疑いが強い場合
・不当に患者の秘密が他人に漏れる恐れがある場合
・医師の不在又は病気等により事実上診療が不可能な場合
などです。
また、「医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない」と、第24条第1項で規定されています。
医師が診断書の記入を拒んだ場合は、「先生が考える正当な理由は何ですか?」と聞けばいいと思います。
どのようにしても診断書を書いてもらえない場合は、受診している医療機関を変更することが一番の近道です。ただ、医師が変わった場合、うつ病者の状況を把握するまでに時間がかかるのですぐに診断書を書いてもらえるわけではありません。
診断書の作成を現在通院している病院に依頼したら、認定日当時の主治医が転勤しており、当院では書けないと言われました。どうすればいいのでしょうか。個人病院でない限り、医師にも転勤がありこのよう事例は十分にあることです。診断書は、障害認定日当時に実際に診療を受けていた医師に作成を依頼するのが原則です。しかし、当時の医師が、転勤等でその病院にいないため診断書の作成を依頼できないときは、その診療科の他の医師か病院長の責任のもと、診断書の下欄に「上記のとおり、診断します。」と書いてある文言を「上記のとおり、診療録に記録されていることを証明します。」と訂正して書いてもらうようにしましょう。これは、「医師法による診断書」ではなく、病院が管理している「診療録の証明書」として書いてもらうものです。 大事なことは、診断書は、当時の本人の診療内容がどのようなものであったかということを証明するものではありますが、必ずしも当時診療を行った医師にしか作成ができないというものではありません。医師の中にも、自分が診察をしたのではないから当時の診断書は書けないという方もいらっしゃるようですが、上記のように依頼をしてみましょう。
たまたまその主治医はその病院の閉鎖の後、新たな病院に勤務されていた
診断書には作成した医師が勤務している病院名や所在地、診断書を作成した医師名等を記入する欄がある
当時本人が通院していた病院は既に閉鎖されていることからどのように書いたらよいか
病院名は今現在その医師が勤務している病院名とし、医師の名前も記載します。
「本人が通院していた頃のカルテを基に診断書を作成した」ということをどのように書くかについて
例 『本人は平成〇年○月までA病院のB科を受診していたところ、同病院が平成○年○月末をもって閉鎖されたことから、当時の同病院での主治医であった私○○○○が当時の診療録を基に本診断書を作成した。』
また、障害年金の申請を考えている人は普段の診察の時から医師にきちんと自分の状態を伝えておくことが大切です。医師が「最近はどうですか」と聞いてきたら「かわりないです」とあやふやに答えず、「これがつらい、あれがしんどい」と細かく報告しておきましょう。