障害年金の制度について

○身体障害と内部障害

1 身体障害

 身体障害とは身体機能に何らかの障害があることを言い、身体障害者福祉法により障害の範囲と程度が規定されている。

(1) 肢体不自由

 身体障害の中で四肢体幹に永続的な障害があるものを肢体不自由という。 

(2) 視覚障害

 視覚障害とは、生まれつき(先天性)あるいは人生の半ばで、病気や怪我などにより視力や視野といった「眼で物を見る力」が低下(弱視)あるいは完全にない(全盲)状況のことを指す。

(3) 聴覚障害

 聴覚障害者とは、聴感覚に何らかの障害があるため「全く聞こえない」、あるいは「聞こえにくい」状態である方々の総称である。

 身体障害と認定された者は身体障害者手帳の交付を受け、障害者自立支援法等の各種サービスを利用することができる。

2 内部障害

 身体障害者福祉法に7つの機能障害として分類されています。
・心臓機能の障害
・腎臓機能の障害
・呼吸器機能の障害
・膀胱または直腸機能の障害
・小腸機能の障害
・ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害
・肝臓機能の障害

 

○精神障害の原因に基づく分類

1 外因性精神障害

 はっきりとした原因によって脳神経が傷害され精神症状が見られるもの

 例)脳挫傷、全身感染症、薬剤など

 

2 内因性精神障害

 原因がはっきりしないが精神症状が見られるもの

 例)統合失調症、気分(感情)障害(うつ病、双極性障害)など

 これらは、自分の病気に対する自覚(病識)が薄く、主体的に治癒が困難な精神疾患といわれています。

 

3 心因性精神障害

 心理的ストレスが原因となり精神症状が見られるもの

 例)ストレス反応、適応障害、社会不安障害、抑うつ神経症、パニック障害、強迫性障害、心因反応など、いわゆる「神経症」と呼ばれるもの

 これらの神経症は精神病ほど症状が重くなく、かつ、主体的治癒可能性があるため、障害年金による生活保障を行うと、疾病利得により病気を自分で治す意欲を失わせることとなると考えられていることから、障害年金の認定対象とされていない。

 

○谷間の障害年金

 平成6年の法改正で、いわゆる「谷間の障害年金」が救済される措置が講じられた。

 国民年金法の一部を改正する法律(昭和60年法律第34号)による法改正前の厚生年金保険法においては、障害年金の支給要件として「初診日の前月までに他の公的年金制度の加入期間も含めて6ヵ月以上の被保険者期間を有すること」とされていました。

 このため、例えば大学を卒業して会社に勤めはじめた直後に障害者となった場合年金が支給されないことが往々にしてありました。

 そこで、平成6年の法改正により、当時の保険料納付状況等が現行の障害基礎年金の支給要件に該当しており、かつ、当該傷病によって平成6年11月9日から65歳到達日の前日までの間に、1級または2級の障害の状態にある場合は、65歳到達日の前日までに請求することにより障害基礎年金が支給されることになりました。

 ただし、この障害基礎年金は20歳前の傷病による障害基礎年金と同様に、本人所得による支給停止の対象とされます。

 

障害年金を受給していると、就職することは出来ませんか?

 ご自身がお話されない限り、障害年金を受給していることが他から分かってしまうということはありません。もちろん、会社が受給状況を調べることもありません。

 また、障害年金を受給しているからという理由で不利になったり、就職出来ないということも基本的にはありません。

 しかし、就労したということで障害の程度が軽くなったと見られて等級が軽くなるケースや、20歳前に初診日がある方は所得制限にかかる場合もあります。

 

「年金受給権者現況届」

 毎年、誕生月の末日までに、「年金受給権者現況届」(現況届)を日本年金機構に提出することになっています。 生存の確認の意味があります。

 ただし、次の5つの場合は、現況届は不要ということになっています。

1 住民基本台帳ネットワークによって確認ができる方

2 年金の全額が支給停止となっているとき

3 全額支給停止となっていた年金が、受けられるようになってから1年を過ぎていないとき

4 年金証書に記載されている年金の支払いを行うことを決定した年月日から、次に来る誕生月の末日までの期間が1年以内であるとき

5 障害の程度が変わり年金の額が変わってからまだ1年たたないとき

 

「生計維持確認届」

 受給中の障害年金に、子の加算(障害基礎年金)、配偶者加給年金(障害厚生年金)が加算されている場合に、引き続き対象となる「子」や「配偶者」の生計を維持しているかどうかを確認するための届出です。

 

 障害年金を請求し支給が決定すると、病状の変化を見るため、原則として一定の期間ごとに診断書を提出しなければなりません。これを「有期固定」(有期認定)と呼びます。

 病状が変動する可能性がある場合、その病状を勘案して、次回の診断書の提出時期が1年、2年、3年、4年、5年のいずれかで設定されます。

 診断書には提出期限が決まっており、20歳前による障害基礎年金の場合は7月末日、それ以外の障害年金についてはその障害年金をもらっている方の誕生日の末日までです。

 例外として、病状が固定していて変わらない場合は診断書の提出が不要です。これを「永久固定」(永久認定)といいます。例えば、肢体の切断などがこれに当たります。切断した部位がまた生えてくることや再生することはないため、このような取り扱いになります。