初診日について

  社会的治癒が個別の事情に対する判断ではなく、制度として認められた例でポストポリオの初診日の取り扱いの変更があります。

庁保険発第0217001号 平成18年2月17日

 ポストポリオについては、障害認定の取扱い上、これまで明確な定義がなされていなかったが、ポストポリオはポリオ罹患者に生じるものであり、ポリオがなければポストポリオを生じないという意味での因果関係があることから、従来は、ポリオに起因する疾病としてとらえ、ポリオで初めて診断を受けた日をもってポストポリオの初診日とする取扱いを行ってきた。

 これを以下の要件を全て満たせば、初診日をポストポリオの初診日とする運用に改めました。

① 新たに加わった筋力低下及び異常な筋の易疲労性については、 診断書 (で確認する)

② ポリオの既往歴があり、少なくとも一肢にポリオによる弛緩性 運動麻痺が残存していることについては、診断書又は病歴・就労 状況等申立書等(で確認する)

③ ポリオ回復後ポストポリオを発症するまでに症状の安定してい た期間( おおむね10年以上) があることについては、病歴・就 労状況等申立書(で確認する)

④ 新たな筋力低下や異常な筋の易疲労性の主たる原因が他の疾患 ではないことについては、診断書(で確認する)

 もともとの障害はポリオウィルスによる麻痺の後遺症ですが、リハビリによってある程度回復する例が多いようです。そういった状況下で長年過ごした後に、再び筋力低下等を感じた時に受診するかどうか、たとえば易疲労性のための腰痛での受診が該当するかどうか。など、加齢の要因や他の疾患の影響も考えられ、本人でも初診が何時になるのか迷うところです。(初診日が特定できないとして請求が棄却された例(平成24年(厚)第30号)もあります。)

 幼少期に罹患するポリオ後遺症による肢体の障害で受給する場合と青年期・壮年期で発症するポストポリオによる肢体の障害で受給する場合とでは、障害厚生年金が受給できるかどうかに関わってきます。当然受け取って然るべきはずのものが、初診の証明に左右される(場合がある)というのは理不尽な話です。更に、ポストポリオによる障害程度からポリオによる障害程度を差し引いて認定するというという結果、不当に軽く判定される傾向があります。