退職金制度

 退職金制度には、基本給連動型、定額制、ポイント制、別テーブル方式等、様々なものがあります。

 各社の実情に合わせて、最適な退職金制度を構築することが大切です。

 

○基本給連動型退職金

 退職金制度の多くが基本給連動型となっています。

 次の計算式で計算されます。

  退職時の基本給 × 勤続年数係数 × 退職事由別係数
                 (自己都合か会社都合かの別)

 基本給の最終到達水準のみが算定基礎となるので、勤続年数も退職時基本給も同じ人は同額の退職金となります。

 算定基礎給と支給率両面から二重の強い年功性が働きます。

 退職金水準が毎年上昇することになります。

 退職時の賃金のみが反映して、途中の功績が反映しません。

 基本給連動型は、年功型退職金制度の典型であり、従業員にも会社にも、計算しやすく、従業員の側からすれば基本給が上がることによって、退職金も一定水準が保たれます。しかし、経営者側から見れば、退職金水準が毎年上昇することになります。会社への貢献度に係らず多額の退職金が支払われる点、退職時点にならないと正確な退職金が計算出来ない点など問題点があります。

 

○ポイント制退職金

 社員の勤務期間における各1年間であらかじめ設定された評価ポイントを付加し、これを累積したものを退職金算定基礎額として、これにポイント単価と退職事由別係数を乗じたものを退職金支給額とするものです。

 次の計算式で計算されます。

  評価ポイント(勤続ポイント+資格ポイント)累積点数 × ポイント単価
  × 退職事由別支給係数

 勤続年数と最終到達資格が同じでも、昇格スピードの差が退職時の職能ポイント累積点に反映されます。

 ポイント方式は、退職金の算定に賃金を用いないので、賃金と退職金を別のものとして管理することができます。

 在籍期間全体を通じての功労に報いることができ、能力主義的な運用ができます。

 従来の算定方式では、基本給の最終到達水準のみが算定基礎となるので、勤続年数も退職時基本給も同じ人は同額の退職金となります。ポイント方式では、毎年の職能資格等級に応じて職能ポイントが付与されるので、勤続年数と最終到達資格が同じでも、昇格スピードの差が退職時の職能ポイント累積点に反映されます。在職期間全体を通じて、能力発揮度の高かった従業員ほど高い資格への格付け年数が長いと考えられるので、より貢献度に見合った能力主義的な退職金制度となります。

 ポイント構成を勤続年数と職能資格の2つに分けているので、退職金のうち「長期勤続による功労に報いる部分」と「在職中の能力発揮による功労に報いる部分」との区別が明らかになります。上掲例のように、長期勤続者について勤続ポイント付与点数を逓減させることにより、勤続年数だけで退職金が増えていくのを抑制するなど、企業の労務管理政策をより明確に反映させることができます。

 

○別テーブル制

 基本給の代わりに、あらかじめ別建てで、勤続年数毎に固定した算定基礎額を用いて次の算式で計算する方法です。  次の計算式で計算されます。

   算定基礎額 × 勤続年数別支給係数 × 退職事由別支給係数
 
 
昇給によって退職金が増えることが避けられます。

 退職給付債務等の計算においても、容易に全体の債務額が計算されやすいものです。

 会社に対する貢献度が反映されません。

 

○定額制

 年齢、勤続年数などにより一定の退職金額表を作り、これに資格等級や、退職事由による係数を乗じて計算する方法です。

  例: 勤続30年で600万円など

 ただし、年齢に連動させる例はほとんどありません。

 

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