大阪府科学技術館事件 大阪地裁判決(昭和40年12月27日)

(分類)

 解雇

(概要)

 組合活動や思想信条を理由に人員整理の名目の下、退職勧告を受けた原告が不本意ながらもこれに応じ依願退職したが、退職後9年余を経てその無効を主張し雇用契約の存続確認を求めた事例。 (却下)

 従業員が解雇又は合意退職によって職場を離れ、その解雇又は退職における使用者側の事由又は意図を知りながら、長期にわたってその効力を争うの措置に出ず、信義則ならびに慣行上、雇用関係の継続がすでに期待し難いものとして取扱われてもやむをえないと解せられる状況にあるときは、当該従業員において、その解雇又は退職の効力を争う意思をすでに放棄したものと認定するのを相当とする場合が存する。そして、かかる思考過程は、前述の労使間における紛争の早期解明による法的安定の要請に発するものにほかならないのであって、原告のような公務員関係にも妥当する。  (中略)  本訴提起当時においては、すでに、原告は被告との間の職員関係の継続をもはや期待し難いものとして取扱われてもやむをえない状況にあって、本訴提起に至るまでの原告の前記挙動の裡に、本件退職勧告における被告の前記意図を本件退職処分の無効事由として利用しないとの意思表示が黙示的に存し、したがって、かかる無効事由に基づいて該処分の効力を争う意思を被告に対して放棄していたものと認めるのが相当である。そして、原告が本訴提起当時すでに右のとおり本件退職処分の効力を争う意思を放棄していた以上、原告の本件訴は、不起訴の合意ある場合と同様、権利保護の利益を欠くものといわなければならない。

(関係法令)

 労働基準法2章

(判例集・解説)

 時報444号94頁  タイムズ187号198頁

 

労働相談・人事制度は 伊﨑社会保険労務士 にお任せください。  労働相談はこちらへ

人事制度・労務管理はこちらへ