三洋電機事件 大阪地方裁判所(平成3年10月22日)

(分類)

 雇止め

(概要)

1.

(1) 1年の期間を定めた定勤社員契約が1回以上更新されている場合につき、同契約は期間の定のある契約にほかならず、実質的に期間の定のない労働契約と異ならない状態で存在していたとはいえないが、定勤社員(パートタイマー)の契約書に契約の継続を半ば期待させるような記載があること、定勤社員契約の更新の際には会社から交付された書面への署名押印という簡易な手続だけで契約更新を繰返して来たこと、定勤社員は臨時社員として2年以上継続勤務した上ではじめて資格の得られる定勤社員契約を1回以上更新していること、その作業が会社にとって必要不可欠のものであったこと等から、定勤社員契約の継続に関する当事者の期待は少なくなかったとして、定勤社員の雇止めには解雇に関する法理が類推され、会社は従業員数の削減を行うほかないやむをえない特段の事情のある場合に限って雇止めを行うことができるとした事例。

(2) 定勤社員の雇止めに関して右特段の事情があるといえるためには、人員削減をなすべき経営上の必要性が認められることのほか、定勤社員の中で希望退職者を募集し、各定勤社員の個別的事情を考慮するなどして、雇止めを回避すべき相当の努力を尽くすべきであるところ、右努力が尽くされていないとして雇止めを無効とした事例。

2.賃金支払仮処分において仮払を命ずべき金額は、現状の生活様式を維持するに要する額ではなく、窮迫状態を回避するに必要な最少限度の額で足りる。

(判例集・解説)

 労働判例595号9頁  労働経済判例速報1443号3頁

 

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