シンガー・ソーイング・メシーン事件 最高裁第2小(昭和48・1・19)

(分類)

 賃金  退職金

(概要)

 労働基準法第24条第1項の賃金全額払いの原則について、労働者が退職に際して、みずから賃金に該当する退職金債権を放棄する旨の意思表示をした場合に、この効力を否定するものではないとするもの。

 上の意思表示の効力を肯定するには、それが自由な意思に基づくものであることが明確でなければならないとするもの。

 退職前に会社の西日本の総責任者であった労働者が、退職後直ちに競争関係にある会社に就職することが判明していて、会社が在職中の当該労働者の経費の使用について疑惑を抱いて疑惑にかかる損害を補填する趣旨で退職に際し、「労働者は会社に対していかなる請求権も有しない」との念書に署名を求めて当該労働者が応じたことが、労働者の自由な意思に基づくものであると認められる合理的な理由が客観的に存在していたといえるとして、退職金債権を放棄した意思表示の効力は肯定できるとするもの。

(関係法令)

 労働基準法  民法

(判例集・解説)

 判時695・107  

(関連判例)

 日新製鋼事件 最高裁第2小(平成2・11・26) 
 小倉電話局事件 最高裁第3小(昭和43・3・12)
 江戸川製作所事件 最高裁第3小(昭和44・9・2)  
 北海道国際航空事件 最高裁第1小(平成15.12.18)  

 

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