大正製薬事件 東京地裁判決(昭和54年3月27日)

(分類)

 懲戒

(概要)

 使用者のなした懲戒解雇につき、右解雇は解雇権の濫用である等として、雇用関係の存在の確認を求めた事例。 (棄却)

 原告は、上司の再三の注意にも拘らず、しばしばルート違反をしていたのであり、被告は、ルートセールス制度は被告の営業成績を向上させるための緊要の制度だとして、その徹底方を外商員に厳重に命じていたのであるから、原告の行為は、外商員服務規則(改正後のもの。)第27条第1、第2号に違反し、従業員就業規則第56条第4号に該当する。また、原告がしばしば得意先訪問開始前に喫茶店に入って相当長時間にわたり勤務を放棄した行為は、従業員就業規則第55条第1号に該当し、原告は譴責処分を受けたのちも反省することなく同様の行為を繰り返したこと、外商員がルート票に従って誠実に職務の遂行に努めることが被告の販売活動の根幹をなしていること、被告の外商員の賃金は固定給であり、しかも外商員は終業時刻になれば、被告会社に立ち寄らずに帰宅することになっているのであるから、外商員が自由に喫茶店に入って勤務放棄をするのを放置すれば、その職場秩序は著しく乱れ、収拾がつかない状態に陥ることが明らかであることなどからして、同条但書の「その情状が特に重い場合」に当たるというべきである。

(関係法令)

 労働基準法89条1項9号

(判例集・解説)

 労働判例318号44頁  労経速報1009号3頁

 

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