中央林間病院事件 東京地方裁判所(平成8年7月26日)

(分類)

 労働契約  解雇

(概要)

1.病院の実権はほぼ全面的に経営者甲が掌握しており、甲も院長乙も甲が実質的な経営者であると認め、乙は事務的な事項や人事についてはほぼ甲に任せ、専ら甲の指示の下に診療を中心とした業務をしていたにすぎない場合には、甲乙間に使用従属関係があるのでこの契約の法的性質は委任契約ではなく雇用契約であると認められる。

2.
(1) 病院の経営者と院長との契約関係につき、院長は経営者の指示の下に診療を中心とした業務をしていたに過ぎないことから、委任契約ではなく労働契約であると認められた事例。

(2) 右病院経営者の院長に対する契約解消を求める言動が、就業規則に基づく懲戒解雇に当たり、院長との間で契約を合意解約したものとは認められないとされた事例。

(3) 右院長の病院経営者に対する言動が懲戒事由たる誹謗中傷には当たらず、医療機器の無断購入という事実もなかったとされ、右懲戒解雇が無効とされた事例。

(4) 右懲戒解雇に当たり、就業規則の定める懲戒委員会の開催又はそれに代わる措置がなされておらず、手続的にも重大な瑕疵があるとされた事例。

(判例集・解説)

 労働判例699号22頁  労働経済判例速報1608号14頁

 

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