電々公社事件 東京地裁判決(昭和56年2月13日)

(分類)

 休職

(概要)

 所属長との揉み合いにより負った傷害の治療のための病休(有休)申請を認めず、賃金カットを行ったことに対し、未払賃金等の支払を求めた事例。 (請求棄却)

 しかるに、原告は被告Yに対して、傷害の具体的な状況や病院名をも告知しなかったのであるから、被告Yが原告の申告及び病気休暇願の記載事項だけからでは原告が傷病により就労不能であったとの事実について十分な心証を得られないと考えたとしてもやむを得ず、原告に診断書その他傷害の事実を証明するものの提出を求めたことは、前記労使間の了解事項及び被告公社の通達の趣旨からしても相当な措置であったと考えられる。原告は前記A病院から診断書を得ており、また病院名、被投与者である原告名、投与年月日等の記載のある薬袋も受取っていたのであるなら、これらを提出しようとすれば容易にできたものであるにもかかわらず、これらを提出しなかったものであり、被告Yが病休の承認をせず、被告公社がこれを欠勤として処理し、原告の同年10月分の給与から前記3時間分の賃金を控除したことも、またやむを得ない措置であったというべきである。  (中 略)  さらに、原告は、被告Yは同年9月12日に原告に対して一旦は病休として処理する旨言明しており、また被告Yは原告が病院に行くこと自体は認めていたのであるから、被告Yは病休の承認をしたというべきであると主張するが、被告Yが病院に行くこと自体は承認したとしても、病休の承認と直接結びつくものではなく、右9月12日の点に関しては、被告Yが原告に対して、原告の病休申請には確認資料の添付がないが、信用して病休手続をとっても良い旨述べたことは前記のとおりであるが、前認定の本件事実経緯に照らすと、これは被告Yが原告との示談を念頭において言ったものと思われ、確定的な意思の表示とは認められず、さらに、被告Yがかように言ったこと自体をもって病休の承認行為といえないことも当然であるから、いずれにしても、このことは前記の病休成立についての判断に影響を及ぼすものではない。

(関係法令)

 労働基準法24条1項

(判例集・解説)

 労経速報1097号15頁

 

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