佐伯労基署長(アーク溶接)事件 最高裁第3小(平成11・10・12)

(分類)

 労働災害  

(概要)

 じん肺管理区分3と認定された労働者の従事した粉じん作業と肺がんとの関係について、「従事した粉じん作業が直接的又は間接的に同人の肺がんを招来したという関係を是認し得る高度の蓋然性が証明されたとまではいまだいえず、右の因果関係につき通常人が疑いをさしはさまない程度に真実性の確信をもつにはいまだ不十分であるとする原審の前期判断は、正当として是認すべきものというほかはない。」とするもの。

原審の認定判断について、

・結局、現在の医学的知見では、じん肺と肺がんとの間の関連性が示唆されているにとどまり、直ちに高度の蓋然性をもって両者の間の一般的因果関係を認めるに至っていない。

・喫煙習慣とその肺がんとの間の因果関係の存在の可能性を否定することはできない。

・専門家会議報告書を踏まえて発せられた局長通達((注)昭和53年11月2日付け基発608号。じん肺管理区分4又は4相当と認められる者について、肺がんを業務上の疾病と取り扱うこととするもの。)は、相応の合理的根拠を有する。等と要約するもの。

(注)上記局長通達は、平成14年3月27日付け基発第0327005号により、じん肺管理区分が管理3若しくは管理4または、管理3若しくは管理4と認められる者に発生した原発性肺がんについて、労災補償の対象とする旨、変更されている。

(関係法令)

 労災保険法

(判例集・解説)

 労判769・16  

(関連判例)

 横浜市立保育園保母事件 最高裁第3小(平成9・11・28)  
 日鉄鉱業長崎じん肺事件 最高裁第3小(平成6・2・22)  

 

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