パリス観光事件 山口地方裁判所宇部支部(平成9年2月25日)

(分類)

 退職金

(概要)

1.パチンコ店を営む会社の従業員である店長を被保険者とする生命保険(事業保険)契約が、右店長により代表者の委任を受けて締結され、保険会社の要求する保険金の全部又は相当部分を退職金又は弔慰金の支払に充当する旨の付保規定も右店長と代表者との間の合意として効力を有する場合、右店長が死亡したことによる保険金の全部又は相当部分を会社は右店長の相続人に対して支払う旨の合意が成立したと認められた事例。

2.会社と従業員との間で従業員を被保険者として締結された生命保険(事業保険)契約の保険金について、会社は退職金又は弔慰金として死亡した従業員の相続人に支払う旨の合意が成立したと認められ、会社に退職金規程がない場合には、会社が受け取った保険金から会社が従業員の遺族のために支出した金員を控除した額を死亡退職金ないし弔慰金として支払うべきであるとされた事例。

3.
(1) 労働者を被保険者とし、使用者を保険者とする生命保険契約が使用者と保険会社との間で締結された際に、労働者が、「この生命保険契約に基づき支払われる保険金の全部または相当部分は、死亡退職金または弔慰金に充当するものとする」と記された書面(付保規定)に署名・捺印していたものと推認され、労働者と使用者との間において、生命保険金の相当部分を死亡退職金又は弔慰金に充当する旨の合意が成立したものと認められた事例。

(2) 右保険契約により使用者が利益を受けることは予定されていないとして、使用者に対し、受け取った保険金額8,038万円余から葬儀費用や保険料等を控除した全額を労働者の遺族に支払うように命じた事例。

(判例集・解説)

 労働判例713号52頁

 

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