日ソ図書事件 東京地方裁判所(平成4年8月27日)

(分類)

 賃金  均等

(概要)

1.
(1) 労働基準法4条に違反する賃金差別は違法であつて不法行為に当り、賃金差別と相当因果関係に立つ損害の賠償を請求できる。

(2) 男女間の賃金差別が労働基準法4条に違反するものであり、適切な是正措置を講じなかったことにつき、過失のあることは免れないから不法行為に当り、賃金差別と相当因果関係に立つ損害の賠償を請求できる。

2.労働基準法4条に違反する男女間の賃金差別が不法行為に当り、賃金差別と相当因果関係に立つ損害の賠償を請求できるとした事案で、賃金につき、男子社員4名の平均基本給とし、実際の支給を受けた賃金との差額が損害であり、退職金についても、男子の基準賃金に基づいて算出された退職金と現に受けた退職金の差額が本件賃金差別と相当因果関係に立つ損害であるとした事例。

3.男女差別賃金が不法行為に当るとされた事案で、該不法行為により損害を被ったことを知ったというためには、単に賃金格差の存在を知ったというだけでは足りず、その格差が違法な賃金差別によることまでも認識する必要があり、入社当時より違法な賃金差別があったことを覚知していたとは認められないとして、消滅時効の完成を認めなかった事例。

4.入社時期、入社年齢が接近している男子従業員との間にかなりの程度の賃金格差が生じていたと主張する元女子従業員の訴につき、賃金差額請求権は認められないが、右賃金差別は会社側の不法行為を構成するとして、賃金相当額の損害賠償が認められるとされた事例。

(判例集・解説)

 判例タイムズ795号61頁  判例時報1433号3頁
 労働判例611号10頁  労働経済判例速報1472号9頁

 

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