東北日産電子事件 福島地方裁判所会津若松支部(昭和52年9月14日)

(分類)

 出向  懲戒解雇

(概要)

1.出向命令は出向先会社のために、その指揮下において労務に服させることを内容とするものであるから、労働者があらかじめ、または、その後に個別的に合意したと認められない限り拘束力をもたない。

2.年末一時金の支払をめぐる折衝中に、労働組合役員らが使用者の経営状態を確認するため、その了解を得て、取引銀行に赴き責任者に面会を求め説明を受けたことにつき、はち巻姿で多人数で押しかけた点で使用者の名誉、信用にとつて無害の行為とは考えられないが、違法性が重大とはいえず、これを理由に懲戒解雇処分はできないとされた事例。

3.就業規則の懲戒解雇手続規定および労働協約の解雇協議条項に違反してなされた懲戒解雇は、特段の事由のない限り無効である。

4.組合員らが工場、事務所の扉、机などに、100枚余のワラ半紙のビラをセロハンテープで貼りつけたことが、施設管理に重大な影響を与えたとはいえず、懲戒解雇に値するような違法性が認められないとされた事例。

5.労働争議の過程で使用者に団体交渉を求め、あるいは使用者が交渉を避けることに抗議する目的でなされた職場離脱につき、違法性が重大とはいえず、懲戒解雇処分に値しないとされた事例。

6.懲戒解雇が無効とされる場合、これを普通解雇の意思表示に転換することはできない。

(判例集・解説)

 労働判例289号63頁

 

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