横浜南労基署長(東京海上支店長付運転手)事件 最高裁第1小(平成12年7月17日)

(分類)

 労働災害

(概要)

 自動車運転手派遣会社の社員で、東京海上横浜支店の支店長付運転手として派遣され、支店長の出退勤、支社等の巡回、客先回り、料亭やゴルフ場での接待等の際の送迎に従事していた者が、昭和59年5月11日に支店長を迎えに行く走行中にくも膜下出血を発症し休業したことについて、労働災害休業補償給付の支給を認めるもの。

  「上告人の基礎疾患の内容、程度、上告人が本件くも膜下出血発症前に従事していた業務の内容、態様、遂行状況((編注)判決では、昭和58年1月以降、とりわけ同年12月以降、さらに、59年4月及び発症日前日から当日にかけての遂行状況が検討されている。)等に加えて、脳動脈りゅうの血管病変は慢性の高血圧症、動脈硬化により増悪するものと考えられており、慢性の疲労や過度のストレスの持続が慢性の高血圧症、動脈硬化の原因の一つとなり得るものであることを併せ考えれば、上告人の右基礎疾患が右発症当時その自然の経過によって一過性の血圧上昇があれば直ちに破裂を来す程度にまで増悪していたとみることは困難というべきであり、他に確たる増悪要因を見いだせない本件においては、上告人が右発症前に従事した業務による過重な精神的、身体的負荷が上告人の右基礎疾患をその自然の経過を超えて増悪させ、右発症に至ったものとみるのが相当であって、その間に相当因果関係の存在を肯定することができる。」とするもの。

(関係法令)

 労働災害保険法

(判例集・解説)

 労判785・6  

(関連判例)

 電通過労自殺事件 最高裁第2小(平成12.3.24)  

 

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