大石塗装・鹿島建設事件 最高裁第1小(昭和55・12・18)
(分類)
安全衛生 労働災害
(概要)
元請企業の安全配慮義務について、「原審が認容した請求は不法行為に基づく損害賠償請求ではなくこれと択一的に提起された被上告人らが亡Aに対して負担すべき同人(鹿島建設)と被上告人大石塗装株式会社との間の雇傭契約上の安全保証義務違背を理由とする債務不履行に基づく損害賠償請求であることが原判決の判文に照らして明らか」として、義務を負うことを認めた原審判決を前提として判示するもの。
(元請企業の安全配慮義務の存在の有無自体については、企業側からの上告がなく、理由は示されていない。)
安全配慮義務違反の損害賠償の遅延損害の始期について、「債務不履行に基づく損害賠償債務は期限の定めのない債務であり、民法413条3項によりその債務者は債権者からの履行の請求を受けた時にはじめて遅滞に陥るものというべきである」として、履行の請求を受けたときであるとするもの。
(注)不法行為の場合は、履行の遅滞に陥るのは、損害発生時とされる。
安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求の場合、遺族固有の慰謝料請求権について、「亡Aと被上告人らとの間の雇傭契約ないしこれに準ずる法律関係の当事者でない上告人らが雇傭契約ないしこれに準ずる法律関係上の債務不履行により固有の慰藉料請求権を取得するものとは解しがたい」として、これを否定するもの。
(関係法令)
民法
(判例集・解説)
労判359・58
(関連判例)
三菱重工業神戸造船所事件 最高裁第1小(平成3・4・11)
日鉄鉱業長崎じん肺事件 最高裁第3小(平成6・2・22)
安田病院事件 最高裁第3小(平成10.9.8)
藤沢労基署長(一人親方)事件 最高裁第1小(平成19.6.28)
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