コールド・マリタイム事件 大阪地裁判決(昭和63年11月16日)

(分類)

 出向

(概要)

 就業規則における出向規定にもとづく出向命令拒否を理由とする諭旨解雇につき、右出向規定が2年前に新設されたもので不利益な変更にあたり、その合理性が存在せず出向命令は無効であり、したがって諭旨解雇も無効とされた事例。  

 本件出向規定及び出向拒否を懲戒事由とする規定を就業規則に新設したことは、労働者に不利な労働条件を課するものであるところ、右認定の事実からでは当該各規定の新設が合理的であるとは認め難いから、本件出向規定及びその拒否を懲戒事由とする規定は原告に対し効力を生じないというべきである。

 以上検討のとおり、原告が本件出向命令に従う義務を負うとは認められない。

 原告は出向義務を負わないし、原告に対しては正当な理由なく出向を拒んだときを懲戒事由とする就業規則46条9号の規定の効力が及ばないことは、前説示のとおりであるから、原告が本件出向命令を拒絶したことは懲戒処分事由とはならない。

(関係法令)

 労働基準法2章  労働基準法89条1項9号

(判例集・解説)

 労働判例532号69頁  労経速報1352号3頁  経営法曹94号16~19頁1990年6月 
 季刊労働法151号154~155頁 1989年4月

 

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