障害年金の給付制限
1 全面的な制限(故意の保険事故)
故意に障害またはその直接との原因となった事故を生じさせた者の当該障害については、これを支給事由とする障害年金は支給しない。
自傷行為など
○覚醒剤使用により障害が発生した場合
自らの意思で覚せい剤などを使用したことによる後遺症については、障害年金は支給されないということになります。
ただし、強迫や暴力により強制的に使用させられた場合は故意にあたらないので支給の対象となります。
病名が覚せい剤精神病など以外でも、医師が薬物使用との因果関係を認めていれば後遺症とみなされます。薬物中毒により障害者となった場合、医師が薬物と現在抱えている障害が薬物から発症したものと認めている限り、障害年金はもらえません。
元々の持病である精神障害により判断能力が失われ、違法薬物を使用してしまった場合は、この行為が故意であったかがポイントとなります。元々の精神障害により判断能力がない状態での使用であれば故意による給付制限の対象とすることはできないと考えられます。
過去に覚せい剤の使用歴がある人が統合失調症になってしまった場合は、病気の症状が覚せい剤の使用と因果関係があるかがポイントとなります。中毒症状がみられず、医学的に因果関係が認められない状態の場合は給付制限の対象とはなりません。
○アルコール中毒による精神障害
アルコールを摂取すること自体は合法ですので、給付制限はありません。
○自殺未遂の場合
厚生労働省の通達によりますと、「故意とは自分の行為が必然的に障害又は死亡等の一定の結果を生ずべきことを知りながらあえてこれをすること」としています。
自殺は自らの意志で命を絶とうしてするものですから、結果障害が残っても障害年金は支給されないのではないのか? と思われるかもしれませんが、うつ病などの精神疾患では故意によるものだとされず、障害年金を受給することができます。
自殺をしようと思う事自体正常な判断が失われているため、自殺が未遂に終わり、結果として障害が残った場合、給付制限は受けないものとなります。
障害年金を受給することが目的で自殺未遂を行った場合は、給付を制限されてしまうということです。
2 全部または一部の制限
故意の犯罪行為もしくは重大な過失により、または正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、障害若しくはその原因となった事故を生じさせ、または障害の程度を増進させた者の当該障害については、これを支給事由とする給付は、その全部または一部を行わないことができる。