東亜ペイント事件 最高裁第2小(昭和61・7・14)

(分類)

 配転

(概要)

 転勤拒否を理由とする懲戒解雇が争われた事案で、労働協約と就業規則に転勤を命ずる旨の定めがあること、労働者が大学卒の営業社員であること、採用時に勤務地を限定する合意がなかったこと等から、使用者は個別的な同意なしに転勤を命ずる権限を有していたとするもの。

 転勤を命ずる権利は濫用することは許されず、濫用となるのは、業務上の必要性が存在しない場合、必要性が存在しても、他の不当な動機、目的による場合、労働者にたいして通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合等、特段の事情の存する場合であるとするもの。

 業務上の必要性は、余人を持って容易に替えがたいとの高度の必要性ではなく、企業の合理的運営に寄与する点が認められれば十分であるとするもの。

 同居中の母と保母をしている妻を残して単身赴任することを転勤に伴う通常のものであるとするもの。

(関係法令)

 労働基準法

(判例集・解説)

 判時1198・149  労判922.94 

(関連判例)

 日東タイヤ事件 最高裁第2小(昭和48・10・19) 
 西日本鉄道事件 最高裁第2小(昭和43・8・2) 
 片山組事件 最高裁第1小(平成10・4・9) 
 帝国臓器製薬単身赴任事件 最高裁第2小(平成11・9・17)
 ケンウッド異動命令無効確認等事件 最高裁第3小(平成12・1・28)
 日産自動車村山工場事件 最高裁第1小(平成1・12・7)
 九州朝日放送事件 最高裁第1小(平成10・9・10)
 直源会相模原南病院事件 最高裁第2小(平成11・6・11) 
 東京焼結金属事件 最高裁第3小(平成10.4.28)  

 

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