双極性障害(躁うつ病)

 うつ病が「うつ」の症状のみ現れるのに対し、双極性障害(躁うつ病)「躁」と「うつ」の症状を繰り返す病気です。
 単に元気すぎたり、やる気満々といった程度ではなく、気分が病的に高ぶっている状態が続くことです。
① 気分が良すぎたり、ハイになったり、興奮したり、調子が上がりすぎたり、時には怒りっぽく不機嫌になったりして、他人から普段のあなたとは違うと思われてしまう
② 自分が偉くなったように感じる
③ いつもよりおしゃべりになる
④ 色々な考えが次々と頭に浮かぶ
⑤ 注意がそれやすい
⑥ 活動性が高まり、ひどくなると全くじっとしていられなくなる
⑦ 後で困ったことになるのが明らかなのに、つい自分が楽しいことに熱中してしまう
(例えば、買い物への浪費・性的無分別・ばかげた商売への投資など)

 上記①~⑦の症状のうち、少なくとも ①を含む4つ以上(①怒りっぽく不機嫌な場合は、5つ以上)の症状が、1週間以上続く場合、「躁状態(躁病エピソード)」の疑いが高くなり、さらに、仕事や人間関係に差し支えたり、入院が必要になるほどであれば、「躁状態(躁病エピソード)」と診断されます。

 双極性障害は、以前は「躁うつ病」と呼ばれていました。

 双極性障害は、「躁」の症状に応じて、大きく「双極Ⅰ型」「双極Ⅱ型」に分けられます。

双極Ⅰ型障害
 重い躁状態とうつ状態を繰り返す

 「躁状態(躁病エピソード)」がはっきりしていて症状が重いのが特徴です。典型的な躁状態とうつ状態があらわれ、以前「躁うつ病」と呼ばれていた症状は、ほぼこのⅠ型に当てはまります。
 躁状態のときは、本人は病気と思っていません。他人への攻撃性が増して、そのためにトラブルで仕事を失ったり、離婚など、深刻な損失をこうむるケースがあります。

双極Ⅱ型障害
 軽躁状態とうつ状態を繰り返す

 Ⅰ型の「躁状態(躁病エピソード)」が重症であるのに対し、「軽躁状態(軽躁病エピソード)」とうつ状態を繰り返すタイプが双極Ⅱ型障害とされています。「軽躁状態(軽躁病エピソード)」は「持続的に高揚した開放的な気分が、少なくとも4日以上続く」というのが、ひとつの基準になっています。程度にかかわらず、本人は「調子が良い]と感じているので、なかなか問題に気がつきません。ほとんどの場合、トラブルも起こさないので、周りからも見過ごされがちです。しかし、摂食障害や不安障害、アルコール依存などが合併しやすく、じつは深刻です。

 このほかに、「軽躁状態(軽躁病エピソード)」と「軽いうつ状態」をくり返す「気分循環症」躁状態(躁病エピソード)」と「うつ状態」を頻繁にくり返す「急速交代型(ラピッドサイクラー)」もあります。
 抗うつ薬を双極性障害に使うと、この「急速交代型」になり、不安定化する場合があります。

双極スペクトラム という考え方
 双極性障害はこれまで、Ⅰ型、Ⅱ型という独立した疾患として診断されてきましたが、Ⅰ型とⅡ型の間には移行型もあるうえ、これらの診断を満たさなくても双極性障害に準じた治療が必要なケースもあることなどから、双極性障害の概念を連続的な「スペクトラム(七色の虹の様な状態を指す)障害」として考えようという動きが出てきました。

 双極性障害の原因は、実はまだ完全には解明されていません。
 しかし様々な研究から、複数の要因が相互関係して起こるのではないかと考えられています。
 また、双極性障害の約2/3の人が「うつ」から始まることがわかってきました。

双極性障害の治療方法
 うつ病では「抗うつ薬」と呼ばれる薬が主体となりますが、双極性障害の治療には気分の波を抑える「気分安定薬」と呼ばれる薬が用いられます。 一部の抗てんかん薬にも気分安定薬としての作用があるため、双極性障害の治療に使用されています。また、最近では、統合失調症に用いられる非定型抗精神病薬なども双極性障害に有効であることが知られています。

 

 躁うつ病(双極性障害)は、躁 と うつ の周期を繰り返しますが、障害年金の制度では、躁の症状についてよりも、うつの状態についてが認定のポイントとなります。障害年金の認定基準が、食事、買物、清潔保持、仕事、社会活動といった日常生活能力の制限を評価することとなっているからです。

 自殺願望が強いことや、激しい意欲低下を訴える人も多く、障害年金において比較的受給者の多い病気です。

  障害年金の認定上、双極性障害のⅡ型については躁の症状は比較的軽いので、意外と評価されません。医師に診断書の作成を依頼するときは、この点を意識し、できれば「うつ状態」について現在ある症状を伝えたほうがよいでしょう。
 双極性障害Ⅰ型については、躁状態にあるときに、人間関係でトラブルを起こしたり、無計画に大きな買い物をしたり、ギャンブルなどで散財したり、大きな借金をしてしまうことがあります。したがって、双極性障害Ⅰ型については、うつ状態のみならず、躁状態も障害年金の認定上、評価対象になるでしょう。

 

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