代休

 代休とは、休日に労働をさせた後に、その休日労働の代償措置として以後の労働日の労働義務を免除することをいいます。

 休日の振替のようにあらかじめ特定の休日と特定の労働日を振り替えるのではありません。

 代休では、出勤させた休日が法定休日の場合は休日労働となるため、割増賃金の支払が必要となります。

 代休は、残業や休日労働に対して就業規則の定めに基づいて追加的に与える休日です。できる限り休日労働等に近接した日に取得させる必要があります。

 代休の取得に当たっては、取得日を指定する等の特約がない限り、年次有給休暇と同様に労働者が指定した日に与えなければなりません。

 代休か年次有給休暇のどちらを優先して取得するのかは、労働者の選択によることになります。就業規則の定めがない限り、会社が指定することはできません。

 

残業時間が8時間に達したときに代休に替える場合とは

  労働協約等で、日々の時間外労働については割増賃金のみを支払い、時間外労働の時間が8時間に達したときに、有給の代休を与えるという措置をとられていることがありますが、この場合、代休が有給であり、かつ、当該代休が時間外労働が同一給与締切り期間内に行われたものである限り、結果として労働基準法第37条の要件を満たすことになりますので、必ずしも違法とはなりません。

 時間外労働に対する通常の賃金は、代休をとった日にまとめて支払うわけで、同一の給与計算期間で見れば、時間外労働の時間に対して通常の賃金を支払ったことと同じことになるわけです。

  残業時間が8時間に達したときに代休を取得することができるという制度も、同一の給与計算期間中に代休が取得され、かつ、2割5分増の割増賃金を支払う限り、法律上特に差し支えないものと考えられます。例えば、残業時間が6時間に達したときに、1日の代休を与えること自体は違法ではありませんが、同一の給与計算期間中に支払われるべき賃金(通常の賃金と割増賃金)を超えて支払われており、プラスとして休日が付与されていることが要件となるわけです。決して人件費抑制にはなりません。

 

解釈例規 休日の振替と代休 

問 就業規則に、休日の振替を必要とする場合には休日を振り返ることができる旨の規定を設け、これによって所定の休日と所定の労働日を振り替えることができか。

答 
(1) 就業規則において休日を特定したとしても、別に休日の振替を必要とする場合休日を振り替えることができる旨の規定を設け、これによって休日を振り替える前にあらかじめ振り替えるべき日を特定して振り替えた場合は、当該休日は労働日となり、休日に労働させることにならない。
(2) 前記1によることなく休日に労働を行った後にその代償としてその後の特定の労働日の労働義務を免除するいわゆる代休の場合はこれに当たらないこと。(昭23.4.19 基収1387号 昭63.3.14 基発150号)

 

 

(昭和23年4月9日 基収1004号、昭和63年3月14日 基発150号、平成11年3月31日 基発168号)

問 労働基準法第36条第1項によって休日労働をした労働者に対しては、以後必ず代休を与えねばならないか。

答 労働基準法第36条第1項において「前条の休日に関する規定にかかわらず」と規定してあるから、設問の場合においては代休を与える法律上の義務はない。

 

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