管理監督者の割増賃金
管理監督者は労働基準法の労働時間、休日に関する規定が適用除外となることから、時間外労働、休日労働に対する割増賃金を支払う義務は生じません。
管理監督者については、労働時間の規定の適用が除外されていますので、時間外の労働に対する通常の賃金と割増賃金の両方が、所定の賃金に含まれているものと解されます。
ただし、管理監督者について時間外労働に対する賃金(割増賃金を含む)を別に支払わないこととするためには、管理監督者の要件を満たすとともに、「定期給与である基本給、役付手当等において、その地位にふさわしい待遇がなされているか否か、ボーナス等の一時金の支給率、その算定基礎賃金等についても役付者以外の一般労働者に比し優遇措置が講じられているか否か等」によって判断することになりますので、留意が必要です。
管理監督者であっても、深夜労働に関する規定は適用除外とされていないことから、深夜労働に対する割増賃金は必要です。
管理監督者に深夜割増賃金を支払うこととする場合、午後10時以降の深夜時間帯の通常の賃金は、時間外労働に対する賃金と同様に、所定賃金に含まれているものと解されるため、時間単価の25%増で足りるものと考えられます。
ただ、管理監督者には役職手当等の一定の手当が支払われるケースが多く、この手当が実質的に深夜労働等に対する賃金を含んでいるという場合は、就業規則上に当該手当については深夜割増分を含む旨の規定を盛り込むことにより、別個に深夜割増賃を支払わなくてもよいとされます(昭和23.10.14基発1506号)。この場合、割増分として含まれている時間数を明示できるための計算根拠も必要となります。就業規則(賃金規程)で定めておかなければなりません。
管理監督者については法定の労働時間を超えて、あるいは休日に労働させても違法ではありませんが、一定の賃金をもって無制限に労働させることができるわけではないことに留意して下さい。
労働基準法第108条では、賃金台帳の必要記載事項として「労働日数」「労働時間数」「時間外・休日・深夜業の延長時間及び延長日数」などの事項について記載義務を定めておりますが、管理監督者については、このうちの「労働時間数」と「延長時間及び延長日数」の記載が除外されています。
したがって、管理監督者の遅刻に対して賃金を控除することは適当ではないものと考えられますが、「労働日数」については同条の記載義務から除外されていませんので、欠勤については一般の労働者と同様に賃金控除の対象とすることができます。
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