労働契約の期間

 有期労働契約の期間は次のようになります。

有期雇用契約

期間の上限

一定の事業の終了に必要な期間を定めるもの

上限なし

専門知識などを必要とする業務

5年間まで

満60歳以上の労働者

間まで

上記以外(一般的な有期雇用契約)

間まで

 

労働基準法第14条(契約期間等)
 労働契約は、期間の定めのないものを除き、建設業等一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次に示す一定の労働契約については5年)を越える期間について締結してはならない。

(5年の労働契約が認められる者)
① 専門的知識等であって、高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限ります)との間に締結される労働契約
② 満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約

(高度の専門的知識等を有する労働者の詳細)  
① 博士の学位を有する者  
② 修士の学位を有し、就こうとする業務に2年以上従事した経験を有する者  
③ 次の資格を有する者   
 公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、1級建築士、薬剤師、不動産鑑定士、弁理士、技術士、社会保険労務士、税理士  ④ システムアナリスト試験、プロジェクトマネージャー試験、アプリケーションエンジニア試験、アクチュアリーに関する試験に合格した者 ⑤ 年収575万円以上の技術者、デザイナー等

 

有期労働契約から無期労働契約への転換(労働契約法第18条~20条)

 平成25年4月1日以降に有期の労働契約を締結し、契約を更新した結果、通算の労働契約期間が5年を超える場合、労働者は使用者に対して、無期労働契約への転換を申込むことができるようになります。

 労働者が使用者に対して、無期労働契約への転換の申込みを行った場合、使用者はこれを拒否できず、申込みがあった時点で使用者はこの申込みを承諾したものとみなされます

  無期労働契約への転換を申込むか否かは労働者の自由です。

  通算の労働契約期間が5年を超えた場合の無期労働契約への転換を認めないといった条件を設けることはできません。

 5年のカウントについては、このルールの施行日以後に開始する(更新する)有期労働契約から対象になります。施行日前の契約期間は通算されません。

 間に空白期間(同一使用者の下で働いていない期間)が6ヵ月以上あれば、空白期間より前の有期労働契約はカウントに含めません。

  なお、無期労働契約への転換が認められる対象となる通算の労働契約期間の始期は、平成25年4月1日以降となります。この法律に基づく労働者の権利として、無期の労働契約への転換の申込みが認められるのは、早くても平成30年4月1日以降ということになります。

 平成25年4月1日前の有期の労働契約期間については無期労働契約への転換が認められる契約期間の通算の対象にはなりません。

 ①高度な専門的知識などを持つ有期雇用労働者、②定年後引き続き雇用される有期雇用労働者がその能力を有効に発揮できるよう、事業主が雇用管理に関する特別の措置を行う場合に、労働契約法の「無期転換ルール」に特例を設けました。Fotolia_86726979_XS

 これら労働者の特性に応じた雇用管理措置に関する計画書を厚労大臣に提出し、厚生労働大臣から認定を受けた場合には、当該5年を延長することができます。

 次の期間は無期転換申込権が発生しないことになります。

①高度な専門的知識などを持つ有期雇用労働者

 一定の期間内に完了することが予定されている業務に就く期間(上限10年

②定年後引き続き雇用される有期雇用労働者

 定年後に引き続き雇用されている期間

 なお、定年前より継続して雇用していることが前提であり、定年の年齢を超えた者を新たに雇用する場合は、この特例の対象にはなりません。

この特例の取扱いをするためには、会社は「第二種計画認定・変更申請書」を作成し、都道府県労働局長の認定を受ける必要があります。またこの申請書の中で、対象となる労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置の内容を記載することになっており、具体的には以下のいずれかの措置を実施することとなります。
 ・高年齢者雇用安定法第11条の規定による高年齢者雇用推進者の選任
 ・職業能力の開発及び向上のための教育訓練の実施等
 ・作業施設・方法の改善
 ・健康管理、安全衛生の配慮
 ・職域の拡大
 ・知識、経験等を活用できる配置、処遇の推進
 ・賃金体系の見直し
 ・勤務時間制度の弾力化

 申請にあたり、上記の措置を実施したことが分かる資料を添付する必要があります。

 

労働契約法第18条(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)

 同一の使用者との間で締結された2以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が5年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。

2 当該使用者との間で締結された1の有期労働契約の契約期間が満了した日と当該使用者との間で締結されたその次の有期労働契約の契約期間の初日との間にこれらの契約期間のいずれにも含まれない期間(これらの契約期間が連続すると認められるものとして厚生労働省令で定める基準に該当する場合の当該いずれにも含まれない期間を除く。以下この項において「空白期間」という。)があり、当該空白期間が6月(当該空白期間の直前に満了した1の有期労働契約の契約期間(当該1の有期労働契約を含む2以上の有期労働契約の契約期間の間に空白期間がないときは、当該2以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間。以下この項において同じ。)が1年に満たない場合にあっては、当該一の有期労働契約の契約期間に2分の1を乗じて得た期間を基礎として厚生労働省令で定める期間)以上であるときは、当該空白期間前に満了した有期労働契約の契約期間は、通算契約期間に算入しない。

労働契約法第19条(有期労働契約の更新等)
 有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。

1 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。

2 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。

労働契約法第20条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)
 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

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