年次有給休暇の取得と皆勤手当
年休などをとった場合に、皆勤手当を、月ごとに1回休むと半額、2回休むと不支給とする労働協約が無効とはいえないとする判例があります。この判断は、労働基準法第136条からすると望ましくはありません。
ただ、会社のやり方が、
①その趣旨、目的
②労働者が失なう経済的利益の程度
③有給休暇の取得に対する事実上の抑制力の強弱
など広くさまざまな事情を総合したうえで、有給休暇をとる権利を抑制したり、労働基準法が労働者に保障した権利を実質的に失なわせるものではない、と判断される場合は認められることもあるわけです。
・練馬交通事件 東京地裁 平成16.12.27
タクシー乗務員が年休を取得した場合、皆勤手当・安全服務手当が不支給となる。この額は1ヶ月最大1万4500円であり、月例賃金総支給額の1.99~7.25%に及んだ。年休買取の制度はなかった。会社は、交番表作成後の代替要員確保が困難であり、運転手の出番完全常務を奨励するためのもので、年休行使を抑制するものではなく、事実、年休も取らせていたと反論した。裁判所は、労働基準法136条は努力義務規定であり、会社の取扱いは法の趣旨に沿わないが、無効とまではいえず、手当の不支給は有効であるとしました。
・大瀬工業事件 横浜地裁 昭和51年
有給休暇の取得を理由として皆勤手当等の諸手当を支給しなかった事件 無効
皆勤手当の金額が1ヵ月4,100円で給与に対して2%弱のケースで、皆勤手当のカットを認めた裁判例があります。 沼津交通事件 最二小判平5.6.25
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