網膜色素変性症
網膜色素変性症とは、網膜に異常が起こり、暗いところでものが見えにくい夜盲(やもう)や、視野が狭くなる視野狭窄、視力低下が見られる遺伝性の病気です。
網膜色素変性症の症状としては暗いところで物が見えにくくなったり(とりめ、夜盲)、視野が狭くなったりするような症状を最初に起こしてきます。 そして、病気の進行とともに網膜の能力を表す矯正視力が低下していきます。
日本では数千人に1人の割合で発病しています。発症の時期や症状、進行は様々で、幼少期に発症して40代頃に視力を失ってしまう重症な例もあれば、発症の年齢が高い場合や、進行が遅い場合では、高齢になってもある程度の視力を維持できている場合もあります。
合併症
早い時期から白内障を合併することが多くみられます。白内障が見つかれば、手術などによって白内障に対する治療をおこないます。
治療法
残念ながら、現在のところ根本的な治療法は見つかっていません。ですから、網膜色素変性症の治療は、病気の進行を遅らせることが目的となります。
暗順応改善薬やビタミンA、ビタミンEなどのビタミン剤、網膜循環改善薬、血管拡張薬などの薬が処方されますが、確実な効果は得られていません。現在、網膜再生治療や人工網膜などの研究、遺伝子治療など様々な研究がおこなわれています。
この病気は最終的に失明に至る病気と思われがちですが、必ず失明するわけではありません。病気はゆっくりと数十年という長い年月をかけて徐々に進みますが、その進行速度には大きな差があるうえ、症状の現れ方、発症した年齢などによっても個人差が大きく、高齢になっても視力を維持している場合が少なくありません。幼少期に発症した場合には、罹病期間(病気にかかっている期間)が長くなるので、数十年して失明する場合もありますが、若年発症だから視力を失うとは限らず、患者さんの多くは発症後40年くらい経過してもある程度の視力を保っています。
網膜色素変性症は、視力よりも視野の方が先に減じる傾向があります。
両眼の視野が5度以内であれば、障害年金2級が認定される可能性がありますので、視野が落ちた時に障害年金の請求を行うのがポイントです。
網膜色素変性症については遺伝性の病気であり、生まれた時にはすでに因子をもっておりますが、初診日はあくまで初めて医師の診断を受けた日となります。手術などで症状があらわれた場合は、手術などで症状が現れた日を初診日とします。
網膜色素変性症や視神経萎縮(幼少時から視力低下がみられるもの)など、一部の病気については、障害年金の審査で先天性(生まれつきのもの)とされる可能性があります。たとえば、初診日は厚生年金加入中にあったとしても、審査で先天性と判断されれば、初診日は誕生日とされてしまいます。
20歳前に初診日がある可能性を調べるために、幼少期の受診状況や中学卒業時からの視力の経過等についての「障害年金の初診日に関する調査票」の提出を求められることがあります。
小さい頃は近視でも、夜盲、視野低下といったこの病気特有の症状は大人(厚生年金加入中)になってから生じたといった場合は、夜盲・視野低下は幼少時にはみられなかったことをきちんと訴えておくことが大切です。
幼少時から視力が低下していたからといって必ずしも先天性となるわけではありません。障害年金では、「近視」と黄斑部変性、視神経萎縮などの病気は、原則として因果関係がないものとして扱われるからです。
視力と視野の両方が著しく低下してしまっている場合には、併合認定で等級が上がる可能性もあります。
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