記録の保存

○労働基準法関係

労働基準法第109条

使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を3年間保存しなければならない。

  本規定は、使用者は労働関係に関する重要な書類を3年間保存すべきことを定めたものです。
 保存義務のある記録には、労働者名簿、賃金台帳、雇入、解雇、災害補償、賃金のほか、出勤簿、タイムカード、残業命令書及びその報告書などの労働に関する書類、労働基準法台6条(時間外及び休日の労働)の規定による労使協定書(時間外及び休日の労働に関する協定書)、健康診断書等が該当します。

 記録を保存すべき期間の計算についての起算日は次の通りです(同施行規則第56条)。
 ① 労働者名簿は労働者の死亡、退職又は解雇の日
 ② 賃金台帳は最後の記入をした日
 ③ 雇入、解雇又は退職に関する書類は解雇、退職又は死亡の日
 ④ 災害補償に関する書類は災害補償を終わった日
 ⑤ 賃金その他労働関係に関する重要な書類はその完結の日

 

○労働契約書等の書類、文書の保存

 労働契約書も、この労働基準法関連書類の一つですから、保存期間は労働者の退職の日から数えて3年です。

 

労働安全衛生法に関する書類

 労働安全衛生法に関する書類として、安全衛生委員会等の議事録と一般健康診断個人票があります。  安全委員会や衛生委員会、安全衛生委員会を開催した際に作成する議事録については、3年間の保存が義務づけられています。

一方、一般健康診断個人票とは雇入時の健康診断や定期健康診断などを実施した際に、会社が作成する書類であり、これについては5年間保存することが義務づけられています。

文書・帳簿の名称

保存期間

起算日

根拠法令

安全委員会、衛生委員会、安全衛生委員会の 議事録

3年

作成した日

安衛則23条

一般健康診断個人票

5年

安衛則51条

 

○雇用保険関係の書類

 雇用保険関係の書類は、届出が終わった日から次の期間中は保管してください。
 ・被保険者に関する書類         4年
 ・労働保険料に関する書留       3年
 ・その他の雇用保険に関する書類  3年

 

○その他の主な書類の保存期間とその根拠法令

・健康保険、厚生年金保険関連書類 → 2年間(健康保険規則、厚生年金規則)  

・その他の書類 → 2年間  

・労災保険関連書類 → 3年間(労災保険規則)  

・労働保険の徴収・納付等の関連書類 → 3年間 (保険料の徴収等規則)  

・税法関連書類 → 7年間(国税通則、法人税規則)    

(給与所得者の扶養控除等の申告書、給与所得者の保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書、住宅取得控除申告書、源泉徴収簿、決算に関して作成された書類等)

・株主総会議事録、取締役会議事録 → 10年間 (商法)

 以上は、法令で定められた文書の代表的なものですが、保存年限が法令で定められていない文書については、各社で決定することになります。 

 ○労働保険・社会保険に関する書類

 労働保険に関する書類としては、例えば、雇用保険の加入手続きを行った際に発行される「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用)」、労働保険料を納付する際に作成する「労働保険概算・確定保険料/石綿健康被害救済法一般拠出金申告書」の事業主控など、様々な書類があります。これらは、以下の区分に従って、それぞれ保存期間が定められています。  

 社会保険(健康保険・厚生年金保険)に関する書類については、例えば、「健康保険・厚生年金保険資格取得確認および標準報酬決定通知書」や「標準報酬月額決定通知書」があり、厚生年金基金に加入している企 業は、基金に係る掛金や標準報酬に関する書類も含まれることになります。これらの書類は、共に2年間保存することになっています。

文書・帳簿の名称

保存期間

起算日

根拠法令

労災保険に関する書類 (徴収法による書類を除く)

3年

完結の日

雇保則143条

労働保険料の徴収・納付に関する書類

完結の日(納付日等)

徴収則70条

雇用保険被保険者に関する書類 (資格取得等確認通知書、資格喪失確認通知書、  離職票の事業主控え等)

4年

完結の日 (当該労働者の退職  等の日)

雇保則143条

その他雇用保険に関する書類

2年

完結の日

健康保険に関する書類 (資格取得等確認通知書、資格喪失確認通知書、  標準報酬月額決定通知書等)

2年

完結の日 (当該労働者の退職等  の日)

健保則34条

厚生年金保険に関する書類 (資格取得等確認通知書、資格喪失確認通知書、  標準報酬月額決定通知書等)

厚年則28条 厚年基則20条

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