業績連動型賞与

 賞与支払総額(または1人当たり平均賞与支給額・賞与支給月数)を決めるのに、その都度労使交渉で決めるのではなく、あらかじめルール化した方式により、企業の業績にもとづいて決める仕組みを業績連動型賞与といいます。何らかの固定部分を設け、それに上乗せする成果配分部分を業績連動型とする賞与決定方式です。

 例えば、年間賞与支給月数を「固定部分(4ヵ月)+インセンティブ部分(0~2ヵ月)」とし、インセンティブ部分の総支給額を営業利益に連動させます。具体的には、「前期末の営業利益額+前期中に組合員に支払った賞与支給総額」にインセンティブ比率を乗じた額をインセンティブ部分とし、その上限を賞与算定基礎額の平均2ヵ月分とします。

 営業利益に賞与支払実績額を足すのは、前期の賞与支給実績が前期末の営業利益に影響を与えているからです。また、インセンティブ部分を0~2ヵ月とし、インセンティブ比率としたのは、過去20年間の賞与支給実績と営業利益の推移から導き出された結果であり、インセンティブ比率については今後の労使交渉で見直す余地も残しています。会社業績に関わらず、組合員には年間4ヵ月の賞与は保証され、営業利益次第でそれに最高2ヵ月が上乗せされる仕組みです。

 業績指標として

 業績連動賞与の「業績」の指標に何を用いるのが適切かは、それぞれの企業の業態によって異なります。

 営業利益は「本業の利益」と言われ、従業員の働きや頑張りの成果を経営数値上から測るのに適した指標の1つです。

 経常利益や当期利益は、企業の財務体質や金利・為替変動、あるいはその期の決算政策といった、従業員の働きや頑張り以外の要因が影響しますが、市場が企業を評価する際の重要な指標であるという理由から、これらに連動した賞与決定方式を採用する企業もあります。

 付加価値やキャッシュフロー、売上高や粗利益などの対前期または対予算実績など、労使で算定方式を合意した単数または複数の業績指標を用いる例もあります。

 業績連動部分を夏・冬の賞与に組み込むのではなく、決算賞与とか期末賞与などという第三の賞与として別に決定・支給するところもあります。

 

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